【製品検査】バルブの検査とはどんなことをするのか?分かりやすく解説します。

こんにちは。近江クリエイトです。

 

いきなりですが、バルブの性能を決めるのは製品検査です。
では、みなさんはバルブの検査とはどんなことをするのか知っていますか?

「どんなことをするのか分からない」「実際には見たことがない」
そんな方も少なくないのではないかと思います。

ということで、今回はバルブの検査について解説していきます。

バルブのことを理解するには重要なことですので、是非最後まで見て参考にしてみてください。

目次

  1. バルブの検査内容
  2. 特殊検査の一例
  3. バルブの性能を決めるのは製品検査!その訳とは・・・ 
  4. まとめ

 

1.バルブの検査内容

バルブの検査には大きく6つの検査があります。

①外観検査
②寸法検査
③材料検査
④作動検査
⑤耐圧検査
⑥シート漏れ検査

 

それぞれ検査別に見ていくと

①外観検査

ピンホールや鋳物割れ、ばり、欠陥的な傷が無いかなどを目視での確認を行います。

②寸法検査

「面間」「接続(フランジ、ネジ、SW、BW)」「口径」などが基準値の公差内に入っているかをノギスやスケールを使用し測定します。

③材料検査

目視や磁性の有無などから決められた材質を使用しているかを確認します。また材料メーカーから発行されるミルシート(材料証明)から確認したりもします。

④作動検査

負荷をかけた状態もしくは無負荷の状態で円滑かつ操作力の強弱が無いかを確認します。
丸ハンドル式やレバー式、ギア操作式の手動タイプは人力にて、電動式やエアー式、油圧式はそれぞれ動力を用いて検査をします。

⑤耐圧検査

水圧や空気圧を用いてバルブ外部にリーク(漏れ)がないかを検査をします。その際掛ける圧力や保持時間については、検査規格に基づいて行われます。

⑥シート(弁座)漏れ検査

水圧や空気圧を用いてバルブ外部にリーク(漏れ)がないかを検査をします。バルブの種類によっては、規定されたリークが許されている場合もあります(メタルシートのバタフライ弁やボール弁、逆止弁など)。その際掛ける圧力や保持時間については、検査規格に基づいて行われます。

 

これらの検査の基準については、主に次のような規格が採用されることが多いです。
特に「寸法検査」「耐圧検査」「シート(弁座)漏れ検査」はほとんどいずれかの規格を採用しています。

①JIS B 2003  バルブの検査通則
②JPI-7S-39    バルブの検査基準
③API Std 598    Valve Inspection and Testing
④ISO 5208     Industrial valves - Pressure testing of metallic valves
⑤MSS SP-61     Pressure Testing of Steel Valves

 

どの規格を採用しているかは、メーカーやバルブの種類によっても異なります。

 

2.特殊検査の一例

1章で挙げた検査以外にも行う検査があるのでその例を挙げていきます。

・非破壊検査
・規格を超えた圧力や保持時間による検査

 

非破壊検査

主にPT検査が行われます。PT検査とは、溶接部などの表面に露出している欠陥を検出する検査です。PT検査の方法は、検査物の表面に浸透性の高い液体(浸透液)を塗り、亀裂などに液が浸透した後、表面の余分な浸透液を洗い流し、現像液を塗って欠陥の模様を浮かび上がらせるというものです。

尚、PT検査の詳細についてはこちらを参考ください。

バルブにおいては、溶接したフランジの溶接部やSW、BWなどの開先部、シート面の盛金に行われます。

規格を超えた圧力や保持時間による検査

基本的には規格によって圧力や保持時間というのは決められています。
例えばJIS B 2003の場合だと、10Kクラスの100Aの仕切弁で耐圧2.10MPa 60秒、シート漏れ1.54MPa 30秒となっています。

この圧力や保持時間を指定した場合、規格に沿った検査ではなくなるので特殊検査となります。

中でも、規定値より高圧にする場合や保持時間を長くする場合、安全面の考慮や仕様自体の見直しも必要になるのでより特殊扱いとなる場合があります。

その他、メーカーの検査要領や規格にない検査は特殊検査となる場合があります。
その為、特に特別な仕様や環境でバルブを使用する場合は、検査要領書を入手しバルブの性能をチェックするといいかも知れません。

3.バルブの性能を決めるのは製品検査!その訳とは・・・

改めてですが、バルブの性能を決めるのは全て製品検査によります。

それは、以前のこちらの記事「【仕方がない?】バルブの完成度にはばらつきが起こります!それが起こる理由は・・・」でも紹介しましたが、製造品には完成度にばらつきが起こります。

しかし、ばらつきが起こるからと言って良品かそうでないか区別しない訳にはいきません。
その為、上記の様な製品検査を行って「合格基準に満たした物」を良品として扱うことになります。

逆に言うと設計理論上、問題ないと思っても製品検査で決められた合格基準に達していないと良品であるとは言えなくなってしまいます。それほど、製品検査とは重要な工程です。

4.まとめ

今回はバルブの製造工程について解説しました。

最後に今回の内容についておさらいです。

①バルブの検査には大きく6つの検査がある。
(1)外観検査
(2)寸法検査
(3)材料検査
(4)作動検査
(5)耐圧検査
(6)シート漏れ検査

※これらの検査の基準については、主に次のような規格が採用されることが多い
[1]JIS B 2003  バルブの検査通則
[2]JPI-7S-39    バルブの検査基準
[3]API Std 598    Valve Inspection and Testing
[4]ISO 5208     Industrial valves - Pressure testing of metallic valves
[5]MSS SP-61     Pressure Testing of Steel Valves

②メーカーの検査要領や規格にない検査は特殊検査となる場合がある。

製品検査を行って「合格基準に満たした物」を良品として扱う。

以上が今回のまとめとなります。

どんな製品でも検査に合格しているかどうかは、安心・安全の観点から言っても不可欠です。しかし、実際にどんな検査をされているか分からなければ、本当の安心には繋がらないのかもしれません。

そこでこの記事では、バルブの検査についてまとめてみました。
さらに実際に目の前のバルブがどのような検査をされているか気になった方は「検査要領書」を入手することをおススメします。

是非、バルブ検査とはどのようなことをするのか分からないという場合の参考になればと思います。

 

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