【バルブの命】バルブの「シート」とは何か?その種類と特徴を詳しく解説します。

こんにちは。近江クリエイトです。

 

 

バルブにとって一番重要なのは流体を制御する「シート」です。
言い換えれば、「バルブの命」と言っても過言ではありません。

しかし、カタログにはシート:SUS304、PTFE、EPDM等と書かれているだけで余り詳しく説明されることはありません。

ということで今回はバルブの「シート」について詳しく解説します。
是非最後まで見て参考にしてみてください。バルブについてめちゃくちゃ理解が深まります。

目次

  1. バルブのシートとは?
  2. シートの材質とその特徴について
  3. 交換可能なシートと交換不可能なシートがある。
  4. まとめ

 

1.バルブのシートとは?

バルブのシートとは、流体を止める、調整するといった制御に用いる部品のことです。
ちなみに「弁座」という言い方もしますので同じ物として覚えておいてください。

弁箱側と弁体側のシート同士を合わせることで流体を制御しますがバルブによってその合わせ方は異なります。

例えば、仕切弁や玉形弁、ニードル弁の場合は、弁箱側のシートに弁体のシートを食い込ませることで制御します。
他にも偏心バタフライ弁などはシート同士をタッチさせることで制御しています。

これらバルブのシートはバルブの種類やシート材質によって制御の精度も変わってきます。

【ワンポイントプラス】
バルブの様な役割を果たす「ダンパー」という物がありますが、バルブとダンパーとの大きな違いは、シートが有るか無いかです。バルブは弁全閉時にリーク(漏れ)が無いのに対し、ダンパは弁全閉時にリーク(漏れ)があります。

 

2.シートの材質とその特徴について

バルブシートの材質には大きく分けてこの3つがあります。

・メタルシート
・テフロンシート
・ゴムシート

 

ではそれぞれ特徴をまとめていくと

①メタルシート

弁箱、弁体共に金属同士のシートを合わせることで制御します。

【特徴】
高温に対して使用が可能
・仕切弁や玉形弁など食い込ませるタイプではリーク0となるが、バタフライ弁やボール弁など回転するバルブの場合は、リークが発生する。
・ステライトの盛金やハードクロムメッキなど摩耗対策が可能。
・劣化しにくく比較的高寿命。

 

メタルシートの材質としては、オーステナイト系のSUS304、SUS316、マルテンサイト系のSUS403やSUS420J2などのステンレス鋼やCAC406などの青銅が主に使用されます。

金属なのでシート自体は劣化しにくいというメリットがある一方で、硬いので異物の付着や噛み込みがあるとうまくシールしなかったり、傷がついたりして性能に支障を来たす場合があります。

②テフロンシート

弁箱テフロンー弁体メタル、もしくは弁箱テフロンー弁体テフロンのシートの組み合わせで制御します。

【特徴】
低摩擦性があり摩耗に強く、高頻度の開閉に最適。
・耐薬品性も高く、ケミカル流体に適している。
・基本的にはリーク0。
・比較的高寿命。

 

テフロンシートの材質としては、PTFE、その強化版のRPTFEがよく使用します。他にも弁箱や弁体をPTFE、PFAやFEPでライニングしたりもされます。

テフロンは低摩擦性があり摩耗に強い為、高頻度の開閉に対して効果的です。その為、シート自体も交換が少なく済みます。
一方で、テフロンという材質自体がゴムに比べると高価となります。

ただ、テフロン自体は非常に優秀で万能な材質なので、個人的には一番おススメです。
テフロンに関する記事はこちら☟

【基本】バルブの材料を学ぶ。バルブで使用するテフロンの種類とその特徴について解説します【テフロン】

こんにちは。近江クリエイトです。   バルブに使用される材質も種類が様々・・・ 「どんな種類があるのか知りたい」 「それぞれの特徴を知りたい」 このような疑問に…

 

③ゴムシート

弁箱ゴムー弁体メタル、もしくは弁箱メタルー弁体ゴムのシートの組み合わせで制御します。

【特徴】
どんなバルブでもゴムシートを使うとリーク0。
・劣化しやすい為、適度な交換が必要。

 

ゴムシートの材質としては、NBR、CR、EPDMをよく使用します。他にも高温度の場合は、FKM(フッ素ゴム(バイトン))を使用したりもします。

ゴムはシール性や施工性が高い為、特に水流体においては効果的です。
(家の水回りもゴムが使われていますよね?)

一方で、ゴム自体が劣化しやすい材質の為、適度な交換が必要になります。

ゴムに関する記事はこちら☟

【基本】バルブの材料を学ぶ。バルブで使用するゴムの種類とその特徴について解説します【ゴム】

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3.交換可能なシートと交換不可能なシートがある。

バルブにとって「命」とも言えるシートですので、シートが損傷してしまうとバルブとしての性能が発揮できなくなります。
そうした場合、そのバルブはもう使えないのでしょうか?

実は、バルブのシートを交換することで再使用可能な物があります。

では、交換可能なシートと交換不可能なシートを紹介していきます。

交換可能なシート

①図面に「シートリング」と書かれている場合
②ゴムシートの場合

 

①図面に「シートリング」と書かれている場合は、弁箱本体にシートリングをはめ込み、その上からセットリングでふたをするという構造となっているので、そのシートリング部分を交換すればシート交換が可能です。

②ゴムシートの場合は、どんなバルブでもリーク0となるのでシート交換しても性能に変化はでません。
※バルブ自体にゴムを圧着させているシートの場合は交換不可能となる場合があります。

交換可能なバルブ:バタフライ弁、ボール弁など

交換不可能なシート

・「シートリング」ではないメタルシート

 

仕切弁や玉形弁などの「シートリング」ではないメタルシートの場合は、弁箱や弁体にプレスしてはめ込んだり、ネジを切ってねじ込んだりしています。その為、一度付けると基本的には外すことができません。また、このタイプの場合はシートを付けた後も弁箱と弁体をセットで加工してすり合わせする為、部分的に交換することは原則考えていません。

交換不可能なバルブ:メタルシートの仕切弁、玉形弁、逆止弁など

 

基本的には上述したように分けることができますが、実際に交換可能かどうかはメーカーに問い合わせてください。

4.まとめ

今回は、バルブのシートについて解説しました。

最後に今回の内容についておさらいです。

バルブのシートとは、流体を止める、調整するといった制御に用いる部品のこと
⇒バルブの種類やシート材質によって制御の精度も変わる
②シートには大きく分けて3つの種類がある
・メタルシート:高温に対して使用可能
・テフロンシート:低摩擦性があり摩耗に強く、高頻度の開閉に最適
・ゴムシート:どんなバルブでもリーク0③【交換可能なシート】と【交換不可能なシート】がある
・交換可能なシート:図面に「シートリング」と書かれている場合、ゴムシートの場合
・交換不可能なシート「シートリング」ではないメタルシート

 

以上が今回のまとめとなります。

バルブのシートはバルブ本来の役割である流体を止める、調整するといった制御に用いる部品です。その為、各バルブメーカーはこのシート形状や性能に注力しています。

「良いバルブかどうかはシートにあり」と言っても過言ではないかもしれません。

今回は基礎的な内容ですが、バルブを理解する上でとても重要な事なので是非覚えてください。

 

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