【製造工程】バルブができるまで。大まかに流れを知ることで納期調整に役立ちます!

こんにちは。近江クリエイトです。

 

みなさんはどのようにしてバルブが作られているか知っていますか?

実際に聞いてみても「なんとなく知ってるかな?」「あんまりよく分かってない」という声が多い様に感じます。

 

でも実は、それを大まかに知ることで製品納期の調整に役立つことができるんです。

ということで、今回はバルブの製造工程について解説していきます。

製作の細かな流れまで覚える必要はありません。
その分、要点を分かりやすくまとめていますので、是非最後まで見て参考にしてみてください。

目次

  1. バルブの製造工程
  2. 工程の中で時間がかかる所
  3. メーカーは「自分の物」だけ作っている訳ではない・・・
  4. まとめ

 

1.バルブの製造工程

バルブの製造工程には大きく6つのプロセスがあります。

①設計
②材料手配
③加工
④組立
⑤検査
⑥仕上げ

 

それぞれの工程別に見ていくと

①設計

まず始めに製品の形を決めたり、使用する材料の選定を行うなど製品の「設計」から始まります。
お客様からのご要望の仕様を考えたり、形にしていくのもこの設計の段階で行います。

この設計が非常に大事で、設計が不十分だと加工ができなかったり、組立時に干渉したり、部品がうまく入らないなど後々の工程に影響を及ぼします。

その為、一番最初の工程ながら一番大切なプロセスとも言えます。

②材料手配

設計が終われば、それを基に材料の手配を行います。
バルブの材料には大きく分けて2つあります。

弁箱やふた、弁体に使用する「鋳物材料」とシートやステム、アッセンブリなどに使用する「鋼材」です。
鋼材は外注するケースがほとんどですが、鋳物材料は自社で鋳物工場を持っている会社もあります。

他にも電動機やシリンダー、リミットスイッチなど制御機器は専門メーカーから購入することもありますし、テフロンなどの材料も外注で入手しています。

③加工

次に手配した材料らを加工していきます。

旋盤、NC旋盤、マシニング、ボール盤、フライス・・・
あらゆる専用機械で加工を行っていきます。

④組立

加工された材料や購入してきた制御機器などを組み立てていきます。

この組立段階で適切に組まれていないと製品不良に繋がることもあるので、意外と大切なプロセスなんです。
せっかく組んだのに次の検査で問題が発覚して組み直しになった、なんてケースもよくあります。

⑤検査

組み立てられた製品が基準を合格しているかの検査をします。

この検査で不合格となった場合、修理や組み直しの為、前の工程に戻されます。
ただ修理不可能な不具合に至る最悪の場合は、作り直し・・・なんてこともあります。

⑥仕上げ

検査まで完了すれば、後は最後の仕上げに入ります。

仕上げでは、塗装したり、グリスアップをしたりと出荷に向けた準備を行います。

 

これら6つのプロセスでバルブは製作しています。

他にもライニングしたり、メッキをかけたり製品によっては工程が変わる場合もありますが、基本的にはこの①~⑥の流れで作られていることだけ覚えておいてください。

2.工程の中で時間がかかる所

「バルブの納期ってこんなにかかるの?」と思ったことはありませんか?
実は、製造工程の中で時間のかかる所がいくつかあるんです。

その例を次にまとめてみました。

【製作納期4ヵ月の場合】

①設計     2週間
②材料手配   2ヵ月
③加工     1ヵ月
④組立     2日
⑤検査     5日
⑥仕上げ    1週間
合計 4ヵ月

 

②材料手配と③加工で3ヵ月程かかっています。

これはまず②の材料手配のほとんどが外注で行われるからです。
外注だと外注先の混み具合や輸送期間もあるので比較的時間がかかりやすくなってしまいます。

そして③の加工ですが、本体やシートなど様々な機械を使い、何箇所も加工しています。
また加工精度によって、ある程度機械の動作スピードは決まっていますので短縮しづらい部分もあります。

以上の様にバルブ製造の中には、どうしても時間がかかってしまう所があるのです。
特に製作納期3~4ヵ月というのが多いのですが、おおよそこのような工程期間で製作されています。

生産方法によって短縮可能?

今紹介したのは1から製作する場合の参考でしたが、メーカーの生産方法によっては、①設計②材料手配までが済んでいて③加工からスタートする場合や③加工④組立まで終わっている場合など、「仕掛り」として製作していることがあります。また⑥まで終わった完成品として在庫している場合もあります。

これらの場合だと上の目安期間の分が短縮されるので短納期となることもあります。
特に汎用品の場合は、これらに当たることが多いです。

但し、注意しなければならないのは、ある程度仕様に制限が掛かるということです。
なぜなら市場や動向に合わせてメーカー独自で仕様を決めて製作を進めることになるからです(メーカー主体)。
その為、標準ラインナップにない仕様を求めると、1から作らなければならなくなり納期が掛かってしまうことになります。

【ワンポイントプラス】
汎用品(標準仕様)は比較的短納期、特殊品や標準ラインナップのない受注生産品は納期が掛かると覚えておいてください。

 

3.メーカーは「自分の物」だけ作っている訳ではない・・・

製作納期に関して、「ご注文後約〇ヵ月」「承認返却後〇ヵ月程度」と回答することが多いです。

なぜこのような回答になるかと言うと、他からも注文を受けて製作しているからです。

 

例えばこのようなイメージをしてください。


飲食店で席についてメニューを見ているとします。何にしようかとそこで時間がかかっていると、後から来た他のお客さんのオーダーが先に作られていき自分の分が後回しになってしまいます。さらに他のお客さんのオーダーが多くなると、その分予想していた時間より大幅に時間がかかってしまった・・・なんて場合もあります。

これらと同じように製作納期と言うのは、「注文をしてから」もしくは「承認して製作開始を告げてから」が本当の納期なんです。
その為、製作納期に急ぐ場合は、早く注文を出す、早く承認返却を出すということが大事なんです

これについては、意外と知られていなく、トラブルにも繋がることが非常に多いです。
納期調整においては、とても大事なことなので必ず覚えておいた方がいいでしょう。

【ワンポイントプラス】
場合によっては、〇月〇日までと期限にシビアになるケースもあります。その為、余裕を持った計画やメーカーとの細かな日程調整が不可欠です。

 

4.まとめ

今回は、今回はバルブの製造工程について解説しました。

最後に今回の内容についておさらいです。

①バルブの製造工程には大きく6つのプロセスがある
(1)設計
(2)材料手配
(3)加工
(4)組立
(5)検査
(6)仕上げ

②製造工程にも時間のかかる所がある。
特に(2)材料手配・・・外注が多いから(3)加工・・・ある程度機械の動作スピードは決まっているから

③汎用品(標準仕様)は短納期が多いが仕様に制限がかかりやすい。

④製作納期に急ぐ場合は、早く注文を出す、早く承認返却を出すことが大事

 

以上が今回のまとめとなります。

実際の製造工程の詳細については、各メーカーによっても異なりますので、今回のはあくまで一例として流れだけでも理解いただければと思いますが、この納期に関しては本当にトラブルが多いのは事実です。

製造不良や製造工程の不備でのトラブルは製造メーカーの問題ですが、それと同じくらい「注文」と「承認」のタイミングでの遅延というのも発生しています。

この記事では、普段あまり語られない製造者側の意見も取り入れてみました。是非、納期に関してお困りの場合の参考になればと思います。

 

その他にもバルブメーカーに10年従事してきた「経験」から皆さんに役立つ情報を記事にしています。
よければそちらも参考にしてみてください。

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