【基本】バルブの材料を学ぶ。バルブで使用するテフロンの種類とその特徴について解説します【テフロン】
こんにちは。近江クリエイトです。
バルブに使用される材質も種類が様々・・・
「どんな種類があるのか知りたい」
「それぞれの特徴を知りたい」
このような疑問にお答えします。
今回はバルブで使用する【テフロン】の種類とその特徴について解説します。
この記事を見れば、バルブで使用する【テフロン】の基本的な性質が分かります。
バルブ材料としてのテフロンのことを知りたいと思った方は、是非参考にしてみてください。
目次
- バルブに使用するテフロンの種類と基本特性
- バルブのどこに使われているのか? 加工性に優れる
- ボール弁のシートがテフロンシートの理由とは?
- まとめ
1.バルブに使用するテフロンの種類と基本特性
参照:三井・ケマーズ フロロプロダクツ㈱HP
まずテフロンとはフッ素樹脂の一種のことです。ちなみにテフロンという呼び方は、デュポン社がPTFEをテフロンと商標登録をしたことで名づけられました。
厳密にはPTFE~PFA=フッ素樹脂なのですが、「テフロン」という呼び方が浸透しているのでこのまま紹介していきます。
バルブで使用するテフロンには次のような種類があります。
・RPTFE
・FEP
・PFA
では、それぞれの特徴をまとめていくと
①PTFE
・非粘着性:表面エネルギーが極めて低く、他の物質とほとんど反応しないため、物質が付着しにくい。
・低摩擦性:摩擦係数が非常に低く、滑りやすい。
・耐薬品性:ほとんどの薬液や溶剤に影響を受けない。
・耐熱性:融点が327℃と高く、260℃までの高温環境でも劣化しない。
・耐寒性:-253℃まで耐えることができる。
・電気特性:絶縁性が高く、電気的に安定する。
・難燃性:燃焼しにくく、炎に触れても有毒なガスを発生しない。
・耐候性:紫外線や可視光線、湿気などの影響をほとんど受けない。
・純粋性:不純物を起こしにくく、食品や医療用途にも適している。
以上の様に非常に優れた性質を持つ材質です。
一方で価格が高い、成形が難しい、衝撃に弱いなどのデメリットがあります。
②RPTFE
RPTFEとは、PTFEにガラス繊維や炭素繊維などの強化材を添加したものです。
PTFEに対して強度・硬度・耐摩耗性の向上、熱膨張率の低減などの特徴があります。
③FEP
FEPとはPTFEに対して融点や連続使用温度が低く、溶融粘度が低いため、溶融押出し成形や射出成形などの成型方法で製品を作ることができます。
一方で耐候性、耐熱性に劣るという欠点があります。
④PFA
基本的な性質はPTFEと同じです。
FEPと同じく溶融押出し成形や射出成形などの成型方法で製品を作ることができます。違いとしては、PTFEと同じ耐熱性に優れる点です。
ゴム材質も同様ですが、バルブに使用するテフロン材料は、テフロン本来の使用温度より使用可能な温度範囲が小さくなります。なぜならバルブに使用する場合、圧力を封じたり、機械的摺動部に使用するなどテフロンに多大な負荷をかけるからです。その為、バルブに使用するテフロン材料としては、テフロン本来の物性値よりは小さくなってしまうのです。
2.バルブのどこに使われているのか?
テフロンはバルブの部品としてあらゆる部分で使用されます。
主に次の部品として使用されます。
・パッキン(Vパッキン)
・シートリング
・ブッシュ
・本体、弁体のライニング
①ガスケット、パッキン(Vパッキン)
耐圧リークを防ぐために、ボディーボンネットの間や本体とステムの間に使用します。
特にテフロンは薬品にも強く、優れた性質を持っているのでほぼ全ての分野に対して使用されます。
②シートリング
低摩擦性であることからシート材質としてもよく使われます。
例えば、バタフライ弁や玉形弁にはテフロンシートのラインナップがあり、特にボール弁においての標準シートはテフロンが採用されています。
③ブッシュ
②と同様に低摩擦性があるので摺動部のブッシュとしてテフロンが採用されることがあります。
④本体、弁体のライニング
部品としてではありませんが、バルブ本体や弁体にテフロンをライニングすることもあります。
例えば、テフロンは耐薬品性があることからからケミカル流体に対してバタフライ弁の通水部をライニングして保護したりすることもあります。
また非粘着性も高いので流体がバルブに付着しにくいという利点もあります。
以上の通り、非常に優れた性質を持っているテフロンは、バルブにとって弱い所をカバーするだけでなく、バルブの性能を高める役割もしています。ある意味最強の材質です。
3.ボール弁のシートがテフロンシートの理由は?
どこのメーカーのボール弁もテフロンシートを採用していて、ゴムシートのボール弁はありません。
なぜなら、ボール弁のシートは流体を制御するだけでなく、弁体のボール自体を支える役割もある為、適度な弾性と剛性が必要となるからです。
ゴムの様に剛性の低いシートではめくれあがったり、変形してうまくシールしない為、摺動抵抗の低いテフロンシートが使用されています。
これらのテフロンシートはゴムシートよりも耐熱性や耐薬品性に優れ、流体抵抗や作動トルクも小さくなります。
ちなみに同じ回転バルブのバタフライ弁はゴムシートもテフロンシートもあります。ゴムシートの場合は中心軸のバタフライ弁、テフロンシートの場合は、二重偏心バタフライ弁となります。これは構造的な意味でそれらのシートを採用しています。
4.まとめ
今回は、バルブで使用する【テフロン】の種類とその特徴について解説しました。
最後に今回の内容についておさらいです。
・PTFE 非粘着性、低摩擦性、耐薬品性、耐熱性、耐寒性、電気特性、難燃性、耐候性、純粋性に優れる
・RPTFE PTFEに対して強度・硬度・耐摩耗性の向上、熱膨張率の低減など
・FEP 溶融押出し成形や射出成形などの成型方法が可。耐候性、耐熱性に劣る
・PFA 溶融押出し成形や射出成形などの成型方法が可。耐熱性に優れる②耐圧、シートの部品としてよく使用される・ガスケット
・パッキン(Vパッキン)
・シートリング
・ブッシュ
・本体、弁体のライニング など
③ボール弁にはテフロンシートしかない。
バタフライ弁のテフロンシートは二重偏心になる。
以上が今回のまとめとなります。
テフロンと言うとフライパンを思い浮かべる方も多いかなと思います。「くっつかない、傷がつきにくい」など日常的にテフロンの優秀さを感じることができていますよね?
そんな優秀な材料なのでバルブの至る所でも使われているということです。その反面、材料費が高くなりやすいということも覚えておいてください。
他にもバルブの材質について書いた記事やそれをまとめた記事もあるので是非!!
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