【基本】ナイフゲート弁とは?「切って止める」バルブ?その特徴について徹底解説します!
「バルブ」と言っても色々な種類があって用途も様々・・・
「どんな種類があるのか知りたい」
「それぞれの特徴を知りたい」
このような疑問にお答えします。
こんにちは。近江クリエイトです。
僕はこれまで10年間で100現場以上を経験してきました。
そんな僕が実務で使えるバルブの知識を分かりやすく紹介します。
今回は「切って止める」バルブ!!【ナイフゲート弁】について解説します。
目次
- ナイフゲート弁とは?
- ナイフゲート弁の長所と短所
- ボール弁、バタフライ弁との比較
- 主な使用例
- まとめ
1.ナイフゲート弁とは?
ナイフゲート弁とは、仕切弁の様に弁体を上下させることで開閉を行います。大きな特徴としては、弁体(プレート)がナイフ形状になっていて流体を「切って止める」という所にあります。ちなみに構造や見た目から「スライドゲート弁」「板弁」と呼ばれることもあります。
構造については、こちらで詳しく解説されているので参考ください
本体の材質は、FC(もしくはSS400)かステンレス製がほとんどです。
ロストワックス鋳造の技術が確立され、ステンレスの価格が安価になってからは、ステンレス製の流通の方が多くなっています。機能的には変わらず、価格もそこまで差が出ないようになっているので、FC(もしくはSS400)にこだわる必要はありません。
ロストワックスについての記事はこちらを参考ください。
【避けられない】鋳物にできる「巣」・・・問題が起こるまで見つけられない??
またシートもメタルシート、テフロンシート、ゴムシートなど用途に合わせて用意することも可能です。
2.ナイフゲート弁の長所と短所
では簡単にこのバルブの主な長所・短所をまとめてみました。
・高粘性、高濃度流体の制御が可能。
・粉体にも使用可能
・全開時にフルポートになる
・既定のシート漏れ量がある。
・グランド漏れしやすい。
・比較的高価
「切って止める」という特性から、パルプ液やスラリーなど高粘性や高濃度の流体に対して制御が可能です。さらに構造上、粉体が詰まりにくい為、サイロの入り口、排出口にも適しています。
通常は、シートが二次側に来る(正流れ)ように設置しますが、粉体の場合、逆側から使用する(逆流れ)と安息角で流れやすく、二次側にシートが来ないので粉体が詰まりにくい構造となっています。
※メーカーによって細かな構造は異なるので粉体に適した構造か注意が必要です。
また比較されやすいバタフライ弁と違い、全開時にはフルポートになるので、流量の確保や流体による弁体への影響は少ないです。
一方で、弁体をシートに押し当てる形でシールするので、シート漏れ量に規定があります。規定値については、各メーカーによって異なりますが、参考として0.28MPaの圧力に対し、メタルシート:40cc/B/min、テフロンシート:4cc/B/min、ゴムシート:0cc/B/min程度となります。
また他のバルブと違い、弁体とグランドパッキンが直接触れる構造の為、流体の影響を受けてグランド漏れをしやすいという特徴もあります。
そして最後にバルブの中では、特殊な構造や流通性も少ないことから比較的高価となります。ただ、その分機能性は高いので使用条件と照らし合わせて考える必要があります。
以上のことから、ナイフゲート弁は特異性のある流体、過酷な条件で使用する特殊バルブです。なので、どちらかというと「ナイフゲート弁が必要」という条件下で使用することが多いです。また特殊対応として弁体(プレート)強化や詰まり防止等々オプションが豊富なのも特徴的です。
3.ボール弁、バタフライ弁との比較
ナイフゲート弁を選定する際、よくボール弁、バタフライ弁と比較されます。
この3つの違いを簡単にまとめてみました。
①操作力(トルクの大きさ)
バタフライ弁が最も操作が軽く、ナイフゲート弁が最も操作が重いということになります。操作が重くなる分、自動弁においては、駆動部が大きくなりやすく、その分高価になりやすいとも言えます。
②流量確保
バタフライ弁はバルブ開状態にしても真ん中に弁体が残るので最も流量確保が悪く、ナイフゲート弁とボール弁は弁体が残らないので流量確保に適していると言えます。但し、ナイフゲート弁の場合は、口径150Aと言っても実際に通過する口はφ140程なので、フルボアのボール弁の方がさらに流量確保に適しています。
③価格
バタフライ弁が最も安価でナイフゲート弁が最も高価となります。仕様やオプションにもよりますが、ナイフゲート弁は汎用性も低く、製作技術要素も多いので比較的高価となります。
ナイフゲート弁の技術要素はシートの性能です。規定値の漏れ量以下にするには、かなりのシート精度が求められるのです。一方で製缶で作られるゲート弁は、シート漏れ量に規定値がない場合も多いので、比較する際は注意が必要です。同じようなナイフゲート構造でも、シート漏れ量に規定値があるか無いかが見極めのポイントです。
④特殊流体対応(高粘性、高濃度、粉体)
ボール弁は、弁箱とボール弁体の間に隙間が発生してしまいます。その為、その隙間に流体が入り込んでしまうと作動不良に繋がる可能性もあります。またバタフライ弁の場合は、トルクが軽い利点とは反対に、特殊流体においては、トルク不足に陥る可能性もあります。その点、ナイフゲート弁はどちらも影響がなく、寧ろ「切って止める」という特性から特殊流体に対し、最も効力を発揮するバルブと言えます。
4.主な使用例
パルプ液、スラリー、粉体などに使用可能です。
仕様のバリエーションが非常に多いので、あらゆる流体に、そしてあらゆる用途で使用が可能です。
もちろん、その用途に合わせてシートを変えたり、サニタリーにしたりします。
製紙工場、火力発電所、下水道用、雨水配管用、プラント配管、食品工場などなど
あらゆる分野で活躍しています。
バルブといっても仕様や種類は様々・・・そんなバルブについての相談先は重要!
配管資材におけるバルブは、種類やメーカーも多く、その中から選定するのはかなりの知識と判断力を要します。またお客様の「このような物がほしい」といったご希望を叶えるためには、バルブの知識だけに限らず、現場の経験値や現場の知識が不可欠です。
そこで株式会社近江クリエイトは、様々なバルブ技術者様のネットワークの構築や100以上の現場に赴き「実際に見て考えること」に注力してきました。これら培った豊富な知識と現場経験を元に、仕様・状況に合わせた最適なバルブを提案、選定致します。
5.まとめ
今回は、【ナイフゲート弁】について解説しました。
最後に今回の内容についておさらいです。
①本体の材質は、FC(もしくはSS400)かステンレス製がほとんど
②メタルシート、テフロンシート、ゴムシートなどシートラインナップが豊富
②高粘性、高濃度流体、粉体の制御に適している
③既定のシート漏れ量がある
④全開時フルポートになる
④グランド漏れしやすい
⑤比較的高価
以上が今回のまとめとなります。
通常、水や空気で特色のない場合は、このナイフゲート弁を使用することはありません。
またバタフライ弁やボール弁のように選定時に比較するバルブもあります。但し、それぞれ特徴がありますので「ナイフゲート弁でないといけない」特異性のある流体、過酷な条件で使用する特殊バルブというように覚えておきましょう。
是非、ナイフゲート弁とは何かについて参考になればと思います。
その他にもバルブの種類に関して記事にしています。
よければそちらも参考にしてみてください。
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