【基本】バルブの操作方法を学ぶ。同じ手動でも操作が軽い【手動ギアタイプ】
こんにちは。近江クリエイトです。
バルブの操作の仕方も種類が様々・・・
「どんな種類があるのか知りたい」
「それぞれの特徴を知りたい」
このような疑問にお答えします。
前回は手動タイプとして【手動丸ハンドル・チェンハンドル】について解説しました。
【基本】バルブの操作方法を学ぶ。超オーソドックス!!【手動丸ハンドル・チェンハンドル】
さて今回は、同じ手動でも操作が軽い【手動ギアタイプ】について解説します。
この記事を見れば、手動ギアタイプの基本が分かります。
バルブの操作機として注意事項や実務で役立つ情報も記述していますので是非参考にしてみてください。
目次
- 手動ギアタイプとは?
- 手動ギアの種類
2-1:ウォームギア
2-2:ベベルギア(かさ歯車) - ギアの取り付け向きには注意!
- まとめ
1.手動ギアタイプとは?
手動ギアタイプとは、手動ハンドルからギア(歯車)を伝って入力される回転を操作トルク(操作力)に変換する操作タイプのことです。構造としては、ギアを伝って減速させることで、それに応じたトルクを得る事ができるということです。
この構造をバルブに当てはめると、「ハンドル→ギア→(スリーブ)→ステム」と力が伝わっていくことになります。
以上の構造から、手動ギアタイプというのは、手動丸ハンドルタイプより「操作を軽くしたい」時におススメということになります。
ギア比と操作力と操作回転数の関係
バルブの駆動部としては、ギア比によって操作力と操作回転数に影響します。
駆動側というのは回す方のギアのことで、被駆動側というのは回される方のギアのことです。このギア比が大きくなる程、操作トルク(操作力)は大きくなります。
よって、バルブの操作を軽くしたい(操作力を上げたい)場合は、このギア比の大きい物を選定すればいいのです。
その反面、ギア比が大きいということは操作に必要な回転数が増えるのでハンドルを何度も回さないといけなくなります。
ギア比を変えずに操作力を上げたい場合は、手動ハンドルの直径サイズを上げると操作力は大きくなります。
2.手動ギアの種類
バルブで使用する手動ギアには大きく2つの種類があります。
2-1:ウォームギア
ウォームギアとは、ネジの切られたシャフトであるウォームと、それに対応するウォームホイールを合わせた機構のことを言います。
長所としては、一段で比較的ギア比を大きくできる事です。
逆に短所としては、摩擦が大きく摩耗しやすいということが挙げられます。
よってバルブとしては、操作力の低いボール弁やバタフライ弁等の回転弁に使用されることがほとんどです。
2-2:ベベルギア(かさ歯車)
参照:中村留精密工業HP
ベベルギアとは傘のような形の歯車で直角に交差する2軸間で回転を伝達する機構のことを言います。ベベルギアをうまく使って動力の伝達方向を変えれば、一つの動力からあらゆる方向へ動力が伝達できるようになります。
長所としては、複数のギアを組み合わせることでギア比をよりいっそう大きくできる事と歯車自体の強度が強く、操作力の必要な場合にも対応できる事です。
よってバルブとしては、操作力の必要な仕切弁や玉形弁等の直動するバルブに使用されることやウォームギアでは出力、摩耗に心配な大口径のバルブに使用されることが多いです。
以上より、バルブとしては操作力のいらない場合にはウォームギア、操作力のいる場合にはベベルギアを使用するということです。
3.ギアの取り付け向きには注意!
バルブの手動ギアには、取り付け向きが2方向もしくは4方向あります。
それは主にギアハンドルの向きによります。
その取り付け向きについては、手配する時点で決めておく必要があります。
なぜなら、手動ギアは一度取り付けると「ストッパー」でその位置を固定するので、後から向きを変更するとストッパー位置が変わることもあり、全閉しない・全開しないということが起こるリスクがあるからです。
なので手配する時には、手動ギアの取り付け向きを決めておくことにしましょう。
もし手配する時点でどうしても決まっていない場合は、いつまでに連絡すればいいかメーカーに確認しましょう。
製造工程上、製品の「組み立て」までに連絡すればいいケースもあります。
4.まとめ
今回は【手動ギアタイプ】について解説しました。
内容をまとめると
・ウォームギアとベベルギアがある。
・操作力の必要な大口径のバルブでも手動で操作できるようになる。
・手動ギアには取り付け向きがあり、事前に決めておく必要がある。
以上が手動ギアタイプの特徴です。
バルブにおいては手動丸ハンドルと同様に、よく使用する基本的な操作方法なので是非覚えておいてください。