【基本】バルブの材料を学ぶ。バルブで使用するゴムの種類とその特徴について解説します【ゴム】
こんにちは。近江クリエイトです。
バルブに使用される材質も種類が様々・・・
「どんな種類があるのか知りたい」
「それぞれの特徴を知りたい」
このような疑問にお答えします。
今回はバルブで使用する【ゴム】の種類とその特徴について解説します。
この記事を見れば、バルブで使用する【ゴム】の基本的な性質が分かります。
バルブ材料としてのゴムのことを知りたいと思った方は、是非参考にしてみてください。
目次
- バルブに使用するゴムの種類と基本特性
- バルブのどこに使われているのか?
- ゴムは劣化する物!定期的な点検や交換が必要!!
- まとめ
1.バルブに使用するゴムの種類と基本特性
バルブで使用するゴムには次のような種類があります。
・CR
・EPDM
・フッ素ゴム(FKM、バイトン)
それぞれの特徴をまとめていくと
①NBR ニトリルゴム
耐油性に最も優れ、機械的強度も強く耐摩耗性にも優れます。
一方で耐熱性、耐候性に劣ります。
使用温度:-30~ 100℃
②CR クロロプレンゴム
機械的強度、反発弾性、耐候性、耐油性、耐老化性、難燃性など、バランスの良い性質を持ちます。
一方で低温では結晶化しやすく、硬化する特徴があります。
使用温度:-30~120℃
③EPDM エチレンプロピレンゴム
耐熱性、耐候性、耐オゾン性、耐老化性に非常に優れます。
一方で耐油性には劣ります。
使用温度:-40~120℃
④FKM(フッ素ゴム)
まず、FKM(フッ素ゴム)とはASTM規格材のことです。FKMと言うと「バイトン」がよく使用されますが、バイトンとはデュポン社の商標のことです。
耐熱性、耐油性、耐薬品性、耐候性に非常に優れます。
一方で耐寒性やアルカリ耐性には劣ります。また他の①~③に比べ高コストになってしまいます。
使用温度:-20~230℃
バルブに使用するゴム材料は、ゴム本来の使用温度より使用可能な温度範囲が小さくなります。なぜならバルブに使用する場合、圧力を封じたり、機械的摺動部に使用するなどゴムに多大な負荷をかけるからです。その為、バルブに使用するゴム材料としては、ゴム本来の物性値よりは小さくなってしまうのです。
2.バルブのどこに使われているのか?
ゴムはバルブの部品としてあらゆる部分で使用されます。
主に次の部品として使用されます。
・パッキン(Vパッキン)
・シートリング
・Oリング
・本体、弁体のライニング
①ガスケット、パッキン(Vパッキン)
耐圧リークを防ぐために、ボディーボンネットの間や本体とステムの間に使用します。
特にゴムはシール性や施工性もよいので水流体においてはよく使用されます。
②シートリング
高いシール性であることからシートとしてもよく使われます。
特にバタフライ弁や逆止弁においての標準シートはゴムが使われます。
このゴムシートを使用したバルブは「リーク0(シートリークしない)」とするのが一般的です。
③Oリング
シリンダー内部や本体とステムの軸封など摺動部において使用されます。
摩耗性や耐油性が求められることが多い為、NBRが使われます。
④本体、弁体のライニング
部品としてではありませんが、バルブ本体にゴムをライニングすることもあります。
例えば、ゴムは電蝕しない特徴から海水流体に対して逆止弁やバタフライ弁の通水部をライニングして保護したりすることもあります。
他にもダイヤフラムバルブやピンチバルブ、水道用の仕切弁なども本体や弁体をライニングされており、構造的にソフトシールすることが可能です。
以上の通り、バルブ本体は金属製でも耐圧、シートなどの重要な箇所においては、ソフト部品のゴムを使用されることが多いということです。
3.ゴムは劣化する物!定期的な点検や交換が必要!!
最後に、これらゴムを使った部品は定期的な交換が必要となります。
なぜならゴムは「水分に触れる(ウェット)-乾燥(ドライ)」の状態を繰り返すとひび割れなど劣化しやすくなるからです。
ゴムが水に浸されると、水分子がゴムの分子鎖の間に入り込み、ゴムの弾性を低下させたり、水分子はゴムの可塑剤や酸化防止剤などの添加剤を溶出させることもあります。
またゴムが乾燥すると、ゴムの分子鎖は空気中の酸素やオゾンと反応して酸化します。 酸化すると、ゴムの分子鎖は硬くなったり、切断したりします。
これらの変化は、ゴムの弾性や柔軟性を低下させ、ひび割れなどを引き起こすことにつながります。
例えば、身近で言うと車のワイパーも同じです。
ウェット-ドライの状態を繰り返すので、ゴムが劣化してしまい「水はけが悪い」といったことが起こってしまうのです。
よって、ゴムは使用環境によって劣化しやすくなるので、定期的な交換が必要です。
ゴムの交換時期の目安は?
バルブ部品として交換時期の目安としては、ガスケットやパッキン、一部Oリングなど固定用としてのゴム部品は約2年、シートリングや摺動部のOリングなどは約半年~1年です。
しかし、これらは使用環境によっても大きく異なるので必ずしもこの通りで劣化するという訳ではありません。
実際、取り付けて十年近くもっているという場合もありますし、その逆ですぐにゴムが劣化、変形したという場合もあります。
その為、定期的な点検の実施が重要となります。
また頻発するようであれば、設備の見直しやバルブ自体の仕様の見直しも必要かもしれません。
4.まとめ
今回は、バルブで使用する【ゴム】の種類とその特徴について解説しました。
最後に今回の内容についておさらいです。
・NBR 耐油、摩耗性に優れる
・CR バランスの良い性質
・EPDM 耐熱性、対候性に優れる
・フッ素ゴム(FKM、バイトン)耐熱性、対候性、耐薬品性に非常に優れる
②耐圧、シートの部品としてよく使用される
・ガスケット
・パッキン(Vパッキン)
・シートリング
・Oリング
・本体、弁体のライニング など
③ゴムは劣化するので定期的な点検や交換が必要。
頻発する場合は、設備やバルブの仕様の見直しも必要の可能性がある。
以上が今回のまとめとなります。
ゴム自体は身近にもあふれていますが、バルブにおいても非常によく使用されます。
シール性に長けている一方で劣化する物なので定期的な交換や点検は忘れないようにしましょう。
他にもバルブの材質について書いた記事やそれをまとめた記事もあるので是非!!
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