【基本】バルブの操作方法を学ぶ。スプリングの力で緊急遮断!【単動エアーシリンダー式】
こんにちは。近江クリエイトです。
バルブの操作の仕方も種類が様々・・・
「どんな種類があるのか知りたい」
「それぞれの特徴を知りたい」
このような疑問にお答えします。
前回こちらの記事で自動弁である【エアーシリンダー式】について解説しました。
【基本】バルブの操作方法を学ぶ。低コストで最も制御に向いた自動弁?!【エアーシリンダー式】
こんにちは。近江クリエイトです。 バルブの操作の仕方も種類が様々・・・ 「どんな種類があるのか知りたい」 「それぞれの特徴を知りたい」 このような疑問にお答…
今回はそれに加えてエアシリンダー式バルブをさらに深堀り!【単動エアシリンダー式】について解説します。
この記事を見れば、単動エアシリンダー式の基本的な構造が分かります。
バルブの操作方法としての単動エアシリンダーのことを知りたいと思った方は、是非参考にしてみてください。
目次
- 単動エアシリンダーとは?
- エアーレス「開」「閉」とは?
- 複動タイプより高価となる理由。製作は意外と難しい?
- 電磁弁は3ポートを使用する
- まとめ
1.単動エアシリンダーとは?
単動エアシリンダーとは、片側にはエアーを入れ内部ピストンを動かすが、エアーが遮断した場合にシリンダー内部の「スプリング(ばね)」の力でピストンを戻す構造のシリンダーのことを言います。
なので「スプリングリターン式」という呼び方もします。
両側にエアーを入れて複動させる複動エアシリンダーに対し、片側にのみエアーを入れて単作動させるシリンダーだと覚えるのがいいでしょう。
この単動シリンダーは、一般的に停電時などの非常事態に「緊急遮断」させることを目的とした使い方が多いのも特徴です。
2.エアーレス「開」「閉」とは?
単動エアシリンダー式バルブの仕様には大きく2種類あります。
それは、エアーの供給が無くなった際(エアーレス時)にバルブが「開」の状態になるか「閉」の状態になるかです。
①エアーレス「開」の場合
エアーが入っている状態の時はバルブが「閉」まっている状態。
エアーが切れるとスプリングが働きバルブが「開」となる。
②エアーレス「閉」の場合
エアーが入っている状態の時はバルブが「開」いている状態。
エアーが切れるとスプリングが働きバルブが「閉」となる。
どちらの使い方もあるのでその設備に応じた選定が必要となります。
3.複動タイプより高価となる理由。製作は意外と難しい?
単動エアシリンダー式バルブは複動タイプと比べると約1.5~3倍ほどの価格差があります。
理由は大きく2つあります。
1つ目は、単動エアシリンダータイプは、バルブに応じたスプリングの選定の難易度が高いからです。
複動タイプの場合は、両側から管理された固定のエアーの力で操作できますが、単動タイプの場合は、スプリングの力で片側操作することになるので、そのばね定数の設計にノウハウが求められます。
よって、単動シリンダー式バルブの方が製作が難しく、その分高価になりやすいということになります。
2つ目は、そもそも汎用性が複動タイプに比べると少ないからです。
通常のON-OFF操作やコントロールに使うのは複動タイプです。どちらかというと「緊急遮断」の目的で使用される単動タイプ自体の需要も少なくなってしまいます。
それに加えてシリンダーの径が大きくなるほど、単動シリンダーのラインナップも減少します。特にゲートバルブなどに使用する縦型のシリンダーになると、対応するスプリングを非常に強くする必要があり、ほとんどのシリンダーサイズから特注になるケースが多いです。
よって、単動シリンダー式バルブは需要の面からも高価になりやすいということです。
以上の様に、単動シリンダー式バルブは需要や製作的にも高価となりやすく、大口径のバルブやゲートバルブなどの操作力が必要となるバルブにおいては、特注対応もしくは対応不可となるケースも多いということです。
4.電磁弁は3ポートを使用する
単動シリンダー式バルブを選定した場合の電磁弁は「3ポート」の電磁弁を使用します。
なぜなら、シリンダー片側はスプリングで動くので①給気の場合は「C(IN)→A(OUT)」、②排気の場合は「A(OUT)→B(EXH)」となるので合計3つのポートで足りることになるからです。
もし「5ポート」の電磁弁を使用してしまった場合は、2つの口を閉止することで「3ポート」となります。
いずれにしても「単動シリンダーは3ポートの電磁弁を使用する」と覚えておきましょう。
5.まとめ
今回は、単動エアシリンダー式バルブの基本について解説しました。
その特徴についておさらいです。
①片側作動はエアー(空気)の力、もう片側はスプリング(ばね)の力
②主に「緊急遮断」の目的で使用する
③エアーレス時に「開」「閉」2パターンがある
④操作力の大きなバルブには不向き
⑤電磁弁は3ポートを使用する
⑥高コスト
以上6つが単動エアシリンダー式の大きな特徴です。
通常は複動エアシリンダータイプがメインとなります。
しかし「緊急遮断」が必要となる場合は、単動エアシリンダータイプを選定するのもいいかもしれません。