【超有益】バルブの「シートリーク」とは?発生原因とその対処法を解説します!!

こんにちは。近江クリエイトです。

 

バルブを知る上で重要なことの1つにバルブのリーク(漏れ)があります。
このリークについてあなたはどこまで知っていますか?

 

「設置したバルブが漏れている(リークしている)!」

「なぜ、バルブから漏れている(リークしている)か分からない!」

このように慌てることはありませんか?

 

このような時も発生原因と対処方法が分かっていれば、慌てることはありません。

ということで今回はバルブの【シートリーク】が発生する原因とその対処法について解説します。

これを理解することで、バルブの知識を深めることにも繋がります。
そしてバルブ選定にも活用できます!

目次

  1. バルブのリーク(漏れ)とは?
  2. シートリークの発生原因
  3. シートリークの対処法
  4. まとめ

 

1.バルブのリークとは?

バルブにおいてリークとは2種類あります。
それは耐圧リーク(漏れ)シートリーク(漏れ)です。

耐圧リーク(漏れ)とは・・・
バルブ本体やボディ―ボンネットの接合部分等から外部に圧力が抜けること。
「圧力容器としての性能が保持できていない状態」

 

シートリーク(漏れ)とは・・・
流体を「止める」シートの部分から漏れ出すこと。
「”栓”としてのバルブの役割を果たせていない状態」

 

まず、バルブにはこの2種類の漏れがあることを覚えましょう。

ちなみに耐圧リーク(漏れ)については前回こちらの記事で詳しく解説してますので是非!
【超有益】バルブの「耐圧リーク」とは?発生原因とその対処法を解説します!!

 

2.シートリークの発生原因

続いて、よく発生するシートリークに関してその原因を紹介します。

①バルブが閉まり切っていない

実は、これが1番多い原因です。
特に、仕切弁、玉形弁でよくみられる内容です。

仕切弁や玉形弁は構造上、「全閉ポイント」まで締め切らないといけません。
しかし、その「全閉ポイント」というのは、製作時に弁箱側と弁体側のシートを合わせて1品1様にセッティングする為、バルブによって個体差もありそれぞれ違うのです。

なので、そんなに締め切っていないのに全閉位置が来たり、逆に深くまで締め込んでやっと全閉位置が来たりすることもあります。
逆に締め込んでいたつもりが「全閉ポイント」まで来ていないなんてことも十分あり得ます。

また締め込み不足意外にもこの2つは構造上、弁体を吊っているので閉作動時に斜めに弁体が入ってしまい、シール位置(閉止ポイント)に収まっていないということもあります。

これらのように「閉まり切っていないこと」がシートリークにおいて1番多い要因なのです。

【ワンポイントプラス】
これはメタルシートの仕切弁、玉形弁において発生することです。ゴムやテフロンを使うソフトシールの場合は、該当しません。逆に締め込み過ぎるとシートの破損にも繋がります。

 

②シートの損傷、摩耗

次に挙げられる原因としては、シートの損傷や摩耗があります。

シートが損傷、摩耗することで「隙間」ができてしまい、そこからリークに繋がってしまうのです。

これについて例を5点挙げると

①流体に含まれる異物によってメタルシートに傷がつく
②高い開閉頻度によってゴムやテフロンのシートがすり減ってしまう
③ウェット-ドライの環境が繰り返されゴムシートが劣化する
④高温によってゴムやテフロンのシートが劣化、変形してしまう
⑤摩耗性の高い流体によってシートが削られてしまう

このようなケースがあります。

これら全て使用環境によって発生してしまう為、条件によって非常に避けにくい原因です。

【ワンポイントプラス】
今現在、使用の条件で頻発する場合は、分解して原因を詳しく調査することをおススメします。
原因を明確にすることで次の対応にも繋がります。

 

③そもそもリークが許容されている

バタフライ弁やナイフゲート弁、逆止弁等でメタルシートを使用した場合には、そもそもバルブにリークが許容されている場合があります。

なぜなら金属は加工しても多少なりとも表面に粗さが出てしまうので、メタルとメタルの接触だけでシートリークを無くすことは非常に困難だからです。

例えば、バタフライ弁の場合、メタル同士が接触した位置が「閉止ポイント」になりますが、どうしてもそこには「隙間」が発生してしまいます。

このようにメタルシートを使用した場合は、「シートリークが発生した」のではなく「発生する物」の場合があります。

【ワンポイントプラス】
仕切弁や玉形弁の場合はメタルシートを接触して止めるのではなく「締め込んでいく」構造なのでこれには該当しません。
但し、ステライト等を盛金した場合は、加工後も粗さが出てしまうのでリークが許容される場合があります。

 

これら3つがシートリークの代表例です。

 

3.シートリークの対処法

ここからはシートリーク(漏れ)の対処法について紹介していきます。

①開-閉を繰り返してみる

リークが発生した場合はまず、開-閉を何度か繰り返してみてください。

なぜなら、適切なシール位置(閉止ポイント)に偶然来ていないことや異物が噛んでいる可能性があるからです。

例えば、バタフライ弁の弁体がゴムシートに収まっていなくリークしていたとしても、開閉をすることでシートに馴染み、収まる様になることがあります。
また他にも偶然異物が噛んでしまい隙間ができることでリークしていたが、開閉をすることで異物の噛み込みが解消されたなんてこともあります。

このように開―閉を繰り返すことで解決することも多々ありますので、1番始めに行っていただきたい処置です。

【ワンポイントプラス】
先程の発生原因①「バルブが閉まり切っていない」も開閉を繰り返すことで全閉ポイントに来やすくなったり、締め込み位置の深い、浅いが確認できたりするので、この対処法が効果的です。

 

②仕様の見直しをする

次の対策としては、仕様の見直しです。
特にシートの損傷や摩耗が起こる環境においては効果的な場合があります。

なぜなら今のバルブが条件に合っていない、もしくはより適切なバルブがあるかもしれないからです。

例えば、摩耗性の高い流体に対し、固いメタルシートを使用すると傷がつきやすくなってしまいます。
そのような時は、ゴムシート等の柔らかいシートを使用すると傷がつきにくくなります。

このように使用環境によっては、そもそも仕様が問題ないか見直すことも必要です。

 

③バルブもしくは部品を交換する

根本的な改善ではありませんが、消耗品として定期的にバルブ交換することやシートリングが交換可能なモデルを使用し、定期的にシートリングを交換することも対策の一つです。

そうすることでシートリークによって設備に与える重大な問題を防ぐことができます。

特にバタフライ弁は、軽量且つコンパクトなので交換や設置も容易ですし、シートリングが交換なタイプもありますのでおススメです。
バタフライ弁についてはこちらでも詳しく解説しているので是非!
【基本】バルブの種類を学ぶ。これが最強のバルブです。【バタフライ弁編】

④シートリークが許容されているバルブの場合

先程紹介した様にシートリークが認められているバルブを使用する場合は、対処というより「シートリークする物」であることを認識しましょう。その際、どの程度許容値があるのかも把握しましょう。

そうすることでそのバルブが使用に適しているのかどうか判断することができます。

 

4.まとめ

今回は、バルブのシートリーク(漏れ)について解説してきました。

大事なことなのでもう一度おさらいしますと

【発生原因】としては主にこの3つです。

①バルブが閉まり切っていない
②シートの損傷、摩耗
③そもそもリークが許容されている

それに対して【対処法】としては

①開-閉を繰り返してみる →これで解決する場合があります。
②仕様について見直しをする →使用環境に適したバルブなのか見直すことも大切です。
③バルブもしくは部品を交換する →シートリークによって与える設備への問題を防ぐことができます。
シートリークを許容する →シートリークについて把握し、適した箇所に使用する。

以上が、対処方法となります。

 

最後に、バルブは「止める」という目的で使用する物なので、このシートが”要”の部分になります。
その為、バルブメーカーはこのシート構造にはこだわりを持って設計、製作しています。
なので、あなたがシール性(閉止能力)を求める場合は使用環境に合ったバルブを選定することが1番重要になってきます。

 

このように発生原因と対処方法が分かっていれば、慌てることはありません。
是非覚えていただきたい内容です。

 

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