【超有益】バルブの「耐圧リーク」とは?発生原因とその対処法を解説します!!
こんにちは。近江クリエイトです。
バルブを知る上で重要なことの1つにバルブのリーク(漏れ)があります。
このリークについてあなたはどこまで知っていますか?
「設置したバルブが漏れている(リークしている)!」
「漏れている(リークしている)バルブをどうしたらいいか分からない!」
このように慌てることはありませんか?
このような時も発生原因と対処方法が分かっていれば、慌てることはありません。
ということで今回はバルブの【耐圧リーク】が発生する原因とその対処法について解説します。
これを理解することで、バルブの知識を深めることにも繋がります。
目次
- バルブのリーク(漏れ)とは?
- 耐圧リークの発生原因
- 耐圧リークの対処法
- まとめ
1.バルブのリークとは?
バルブにおいてリークとは2種類あります。
それは耐圧リーク(漏れ)とシートリーク(漏れ)です。
バルブ本体やボディ―ボンネットの接合部分等から外部に圧力が抜けること。
「圧力容器としての性能が保持できていない状態」
流体を「止める」シートの部分から漏れ出すこと。
「”栓”としてのバルブの役割を果たせていない状態」
まず、バルブにはこの2種類の漏れがあることを覚えましょう。
2.耐圧リークの発生原因
続いて、よく発生する耐圧リークに関してその原因を紹介します。
①バルブ本体に穴が空くピンホール
これの発生する原因は、鋳造不良や流体が起こす摩耗や腐食によるものが多いです。
特に鋳鉄、ダクタイル鋳鉄は鋳造時にガスが発生しやすく、ピンホールに繋がりやすい「巣」が出来やすくなってしまいます。
また、流速が速いことや流体に摩耗性や腐食性があったりすると、それが本体を少しずつ削りピンホールに繋がったりもします。
ピンホールは、製造時の製品検査では発見できず、実際現場で取り付けて繰り返し圧力が掛かることで、ある日栓が抜けたように現れることもあります。事前に発見するのが意外と難しい厄介な現象です。
②ボディ―ボンネットのガスケットの破損
バルブ内部の圧力に耐えきれず亀裂が走ったり、ガスケットが流体の温度に耐え切れず破損したりすることがあります。
これについては、「選定ミス」によるケースが多いです。
ガスケットも金属と金属の間に挟むソフトの部品なので、適切な物を選ばないと流体の影響を強く受けてしまうことになります。
それによりガスケットが破損し内部と外部に通り道が出来てしまうとリークに繋がってしまいます。
③グランドパッキンの損傷や応力緩和
グランドパッキンもガスケット同様に、適切な物を選ばないとバルブ内部の圧力や温度によって影響を受けることがあります。
それによりグランドパッキンに亀裂が発生し、内部と外部に通り道が出来てしまうとリークに繋がってしまいます。
特にグランドパッキンは、ステムとバルブ本体を封じるソフトの部品なので、繰り返し作動することや圧が掛かったり、掛からなかったりを繰り返すことで応力緩和が発生し、そこに「隙間」を生じさせることがあります。この「隙間」がリークに繋がってしまいます。
ちなみに応力緩和については、こちら「応力緩和とは何か? 内部応力、残留応力とは? わかりやすく説明してみる」で詳しく解説されてますので参考にしてみてください。
これら3つが耐圧リークの代表例です。
3.耐圧リークの対処法
まず始めに1番大事なことは、そのバルブがどこからリークしているのか明確にすることです。
僕の経験上、3割程度の方しか出来ていません。
どこからリークしているのかはっきりしないと対処ができないので、
「目視」でどこからリークしているのかチェックするようにしましょう。
空気やガス流体の場合、目視では分かりにくい場合があります。そのような時は、石鹸水を使用してください。リークしている箇所にシャボン玉ができるので「目視」での発見に繋がります。
どこからリークしているか発見できたら次のステップです。
①ピンホールであった場合
バルブの交換が必要です。
その際、鋳造不良のピンホールの場合は仕方ないですが、流体が起こす摩耗や腐食による場合は、バルブ選定を見直すことも重要です。
個人的には、鋳造不良も起こしにくく、耐食性の高いステンレス鋼がおススメです。
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②ボディ―ボンネットのガスケットの破損の場合
ガスケットの交換が必要です。
またこちらは流体に対して適切なガスケットかどうか確認することが重要です。
もし圧力条件や温度条件が合っていなかった場合は、適している物に変更する必要があります。
③グランドパッキンの損傷の場合
グランドパッキンの交換が必要です。
またこちらも流体に対して適切なグランドパッキンかどうか確認することが重要です。
もし圧力条件や温度条件が合っていなかった場合は、適している物に変更する必要があります。
④応力緩和の場合
グランドのボルトを増し締めしましょう。
応力緩和で出来た隙間を増し締めによって塞ぐことができます。
但し、締めすぎると操作が重くなるので注意です。
また技術的なことですが、均等にパッキンが抑えられていないことが原因の場合があります。
増し締めしても解消されない場合は、「一度ボルトを緩めてしまってから、もう一度均等に締め直す」というのもかなり効果的です。
グランドパッキンからのリークの場合は、まず「増し締め」をするようにしましょう。なぜなら、グランドパッキンは、損傷よりも応力緩和の方が発生しやすいからです。「グランド漏れした時は、まず増し締めを!」
ちなみに・・・
ガスケット・パッキンの交換や増し締め等、対処を行う場合、バルブ内の圧力は抜くようにしましょう!!
4.まとめ
今回は、バルブの耐圧リーク(漏れ)について解説してきました。
大事なことなのでもう一度対処についてまとめますと、
手順1:バルブがどこからリークしているのか明確にすること
ちなみにバルブの耐圧リークの主な原因はこの3つです。
①バルブ本体に穴が空くピンホール
②ボディ―ボンネットのガスケットの破損
③グランドパッキンの損傷や応力緩和
手順2:それぞれに適した対処を行う。
例えば上の3つの場合・・・
①ピンホールであった場合 →バルブの交換が必要。
②ボディ―ボンネットのガスケットの破損 →ガスケットの交換が必要
③グランドパッキンの損傷や応力緩和 →グランドボルトの増し締め、グランドパッキンの交換
以上が、対処方法となります。
基本的にバルブは金属で出来ていますが、構造的にできる隙間は全てガスケットやパッキンといったソフトの部品で封じています。
なので、リークに関してはそもそもそのバルブ本体から起こっているのか、それともソフトの部品からなのかによって対処方法が変わってくるのです。
このように発生原因と対処方法が分かっていれば、慌てることはありません。
是非覚えていただきたい内容です。