【基本】バルブの種類を学ぶ。ちょうど真ん中、ちょうどいいバルブ【ボール弁編】
「バルブ」と言っても色々な種類があって用途も様々・・・
「どんな種類があるのか知りたい」
「それぞれの特徴を知りたい」
このような疑問にお答えします。
こんにちは。近江クリエイトです。
僕はこれまで10年間で100現場以上を経験してきました。
そんな僕が実務で使えるバルブの知識を分かりやすく紹介します。
今回はちょうどいいバルブ【ボール弁】について解説します。
いよいよバルブの種類、基本編のラストです。
目次
- ボール弁とは?
- ボール弁の長所と短所
- 仕切弁・バタ弁との比較
- 主な使用例
- まとめ
1.ボール弁とは?
まずボール弁とは、弁体がボール形状となっていて90°開閉する事でバルブの開閉を行います。
ボールバルブのシートは主にテフロンシートで、特性上ゴムシートはありません。
粉体、スラリー、高粘度流体、高温流体の用途向けにメタルシートがあります。
ボール弁の通路の形状としてレデューストボアとフルボアの2種類があります。
・レデューストボア:口径に対してシートの部分が少し絞られた形状
・フルボア:口径に対してシートの部分がほぼ同じ大きさの形状
ちなみにこの形状の違いは、主にねじ込みタイプでのみ発生します。
逆にフランジタイプでは、ほとんどがフルボアタイプとなります。
またボール弁には特有のオプションもあります。
・ファイヤーセーフ:構造火災などによりシートやパッキンなどのシールパーツが焼失した際に、流体の著しい漏洩を防止できる構造
・帯電防止機構:ボールとボールシート間の静電気を逃がす為の帯電防止装置の装着
2.ボール弁の長所と短所
では簡単にこのバルブの主な長所・短所をまとめてみました。
・全開時には、流量が確保しやすい。
・小口径もラインナップが豊富(自動化も)。
・大口径(250A以上)のラインナップには乏しい。
ボール弁の最大の特徴は、全開時、フルポート(流路に遮る物がない)になるので流量が確保しやすくなる点です。
どのバルブも基本的には全て流路に弁体が残るのでその点は大きな利点です。
そして、口径も8A程の小さなバルブから存在します。
それも自動弁もラインナップされているのでその点は大きな利点です。
一方で大口径のラインナップは乏しく、特に250A以上になると流通性が悪くなります。
3.仕切弁・バタ弁との比較
仕切弁、バタフライ弁、そしてこのボール弁の比較を次の通りまとめてみました。
「違いは何?」と言われたら、この違いを覚えてもらえれば十分です。
仕切弁<ボール弁<バタフライ弁
②重量が軽い
仕切弁<ボール弁<バタフライ弁
③小口径が得意
バタフライ弁<仕切弁<ボール弁
④大口径が得意
ボール弁<仕切弁<バタフライ弁
⑤高温に強い
バタフライ弁<ボール弁<仕切弁
⑥価格の安さ
仕切弁<ボール弁<バタフライ弁
⑦流量の確保しやすさ
バタフライ弁<仕切弁<ボール弁
以上、大きくこの7つに分けられます。
どれをとっても大体真ん中に位置するのがポイントです。
その中でも「小口径が得意」という点と「流量の確保しやすさ」は1番です。
以上のことから、ボール弁は仕切弁とバタフライ弁の間をとったようなバルブです。
この「間の物」というのは意外と一番重宝されやすく、
実際にバルブの中でも最も多く生産され、使用されているのがこのボール弁となります。
4.主な使用例
ボール弁は水、蒸気、空気、ガス、油、スラリー、粉体などに使用可能です。
小口径やフルポートになる利点からもあるので各ドレン配管や空気配管等にも多く用いられますし、ガス用のバルブというとこのボール弁がほとんど使用されています。
5.まとめ
今回は、【ボール弁】について解説しました。
最後に今回の内容についておさらいです。
①テフロンシート、メタルシートが使われ、ゴムシートはない
②通路の形状としてレデューストボアとフルボアの2種類がある
③ボール弁には特有のオプションがある
・ファイヤーセーフ
・帯電防止機構
④全開時にはフルポートになるので流量が確保しやすい
⑤小口径もラインナップが豊富
⑥大口径(250A以上)のラインナップには乏しい
以上が今回のまとめとなります。
タイトルの通りちょうどいいバルブだと個人的には思っています。
前回紹介したバタフライ弁には小口径のラインナップが乏しかったり、高温に対して弱い、流量確保に弱いなど弱点があります。
そういうバタフライ弁が使えないという時、次に期待できるのがボール弁です。
もちろん2番手とか代役ではなく十分主役級なので、バルブ界の「2枚看板」と言ったところでしょうか?
実際に製作側もボール弁、バタフライ弁は年々開発が進み、あらゆる条件に対応できるバリエーションが増加しています。
ボール弁は低コストでハイクオリティなバルブですので是非、この記事を参考にして覚えてみてください。
その他にもバルブの材料に関して記事にしています。
よければそちらも参考にしてみてください。
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