【基本】バルブの材料を学ぶ。最強ステンレス鋼をさらに深堀り!!【SCS14A】

こんにちは。近江クリエイトです。

 

バルブの材質も種類が様々・・・

「どんな種類があるのか知りたい」
「それぞれの特徴を知りたい」

このような疑問にお答えします。

 

前回こちらの記事でステンレス鋼【SCS13A・SUS304】について解説しました。

【基本】バルブの材料を学ぶ。万能!!最強!!ステンレス鋼【SCS13A・SUS304】

こんにちは。近江クリエイトです。   バルブの材質も種類が様々・・・ 「どんな種類があるのか知りたい」 「それぞれの特徴を知りたい」 このような疑問にお答えしま…


 

今回はそれに加えて最強ステンレス鋼をさらに深堀り!【SCS14A】について解説します。

この記事を見れば、ステンレス鋼【SCS14A】の基本的な性質が分かります。
バルブ材料としてのSCS14Aのことを知りたいと思った方は、是非参考にしてみてください。

目次

  1. SCS14Aの基本特性
  2. SCS13Aとの違いは?
  3. SCS13AよりSCS14Aの方が適した流体の参考例
  4. まとめ

 

1.SCS14Aの基本特性

まずSCS13A同様に素材によって規格が異なります。

SCS14A・・・鋳造品
SUS316・・・棒材、板材

 

ASTM材としてCF8M(SCS14A同等)もよく使われますので覚えておきましょう。

 

基本的にはSCS14Aもオーステナイト系機械的性質はSCS13Aと同じです。
以下性質のおさらいです。

①強度

引張強度480N/mm2以上。
SCPH2と同じ数値で強度が強い。

②耐温度

最低温度は-198℃、最高温度は800℃まで。

③加工のしやすさ

鉄鋼の中では、非常に加工しにくい(製造費用が高くなる)。

 

他にもSCS13Aと同じく「かじり(焼き付き)」には注意が必要です。

 

以上、ここまでは規格が異なるだけで性質は同じであることが分かるかと思います。

では、次項でその違いを解説していきます。

2.SCS13Aとの違いは?

SCS14Aは含まれているニッケルの量を増やし、モリブデンを追加した材料です。

それにより発生したSCS13Aとの大きな違いは次の2つです。

・SCS14A(sus316)の方が耐食性・耐薬品性に優れている
・SCS14A(sus316)の方がさらに約1.3倍~1.5倍高価な材質

 

耐食性・耐薬品性に優れている

SCS13Aも他の材質と比べると耐食性、耐薬品性にも優れているのですが、SCS14Aはさらに優れた材質となります。

約1.3倍~1.5倍高価

ニッケルやモリブデンを追加していることで、その分さらに高価となっています。

 

つまりSCS14Aは、SCS13Aより耐食性・耐薬品性に優れた材質で、さらに対応できる範囲を広げることができるということです。
その分、SCS13Aよりさらに高価になっています。

 

3.SCS13AよりSCS14Aの方が適した流体の参考例

SCS13Aより耐食性、耐薬品性に優れていていると紹介しました。

では、ここでSCS14Aの方が適している流体の参考例を挙げます。

①海水

SCS13A:適合度「×」   孔食指数18.0
SCS14A:適合度「○」   孔食指数22.6

孔食指数(PRE)は耐食性を推測する目安となる物で、高いほど耐食性に優れていると言えます。
SCS13Aに比べてSCS14Aの方が高いので対海水にも優れていると言えます。

②硫酸

SCS13A:適合度「×」
SCS14A:適合度「△」

硫酸は強酸性の酸で強い酸化力があります。
SCS13Aはじめほとんどの金属を酸化させてしまう程の液体です。

その中で完全に適している訳ではありませんが、金属材料の中でまだ耐えうるのがSCS14Aです
(マシな方という言い方が正解です・・・)。

③水酸化ナトリウム

SCS13A:適合度「△」
SCS14A:適合度「○」

水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)は、水によく溶けて強いアルカリ性を示します。
強い腐食性があるのも特徴です。

 

以上からSCS14Aは腐食性の強い海水にも適応していたり、強酸や強アルカリなど耐薬品性にも優れていると言えます。
言い換えれば、他の材質では太刀打ちできない場合に活躍する材質ということです。

4.まとめ

今回はステンレス鋼【SCS14A・SUS316】について解説してきました。

以上のことをまとめると、
SCS14AはSCS13Aより耐食性・耐薬品性に優れており他の材質では太刀打ちできない場合に活躍する材質ということです

要するにSCS13Aでも万能なのに、さらに強化版がSCS14Aなんです。

その分、SCS13Aよりさらに約1.3~1.5倍高価となってきます。

 

実は、バルブ材料としてSCS14Aよりさらに耐食性を高めた【SCS16A・SUS316L】というのも使われます。
他にも耐海水性、耐腐食性に優れ、そのうえ強度も高いというオーステナイトとフェライトの二つの金属組織をもつ【二層ステンレス】など、ステンレス鋼には豊富な種類があります。
それらも含めて、個人的には長寿命でもある「ステンレスのバルブ」をおススメしています。

 

以上がバルブ材料の【SCS14A・SUS316】について基本特性となりますので、是非覚えておいてください。

 

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