【基本】バルブの種類を学ぶ。【スイング逆止弁編】実は結構難しいバルブなんです・・・
「バルブ」と言っても色々な種類があって用途も様々・・・
「どんな種類があるのか知りたい」
「それぞれの特徴を知りたい」
このような疑問にお答えします。
こんにちは。近江クリエイトです。
僕はこれまで10年間で100現場以上を経験してきました。
そんな僕が実務で使えるバルブの知識を分かりやすく紹介します。
逆止弁と言っても形は様々・・・(種類の中では一番多い?)
その中でも超基本の【スイング逆止弁】について解説します。
目次
- スイング逆止弁とは?
- スイング逆止弁の長所と短所
- 主な使用例
- まとめ
1.スイング逆止弁とは?
スイング逆止弁とは、弁体とアームにヒンジピンを吊り下げた構造です。
イメージ的には人が鉄棒にぶら下がっている感じですね。
作動に関しては、流体の力で弁体を押し上げて開く、力が弱まれば閉まるという
ハンドルなどの操作機を有さない「自力式」のバルブです。
主に「逆止弁、チェック弁、チャッキ弁」と呼ばれる事もあります。
これらは全て同じ物と捉えてもらって構いません。
加えてスイング逆止弁の場合、水平の配管かもしくは垂直の配管の「下から上」に流れるように設置する必要があるということを覚えておかなければいけません。
それは、始めに言った通り「自力式」である為、上から下の配管で設置すると弁体が自重で開こうとするからです。
それらも踏まえて作動の全てが設置状況や流体に影響を受けることとなりますので、その点は要注意です。
2.スイング逆止弁の長所と短所
では簡単にこのバルブの主な長所・短所をまとめてみました。
・逆止弁の中では流量が確保しやすい。
・バルブの開度と流量が比例する(圧力損失が少ない)(キャビテーションが発生しにくい)。
・逆止弁の中では面間が大きくなる(コンパクトにできない)
スイング逆止弁は安定して流体を流したいという場合に最適な逆止弁です。
鉄棒の原理で作動するので、圧力が上り開度が上がると、比例して流量が増えていきます。
また、全開の時には、弁体が流路から外れる為、口径に対して流量が確保しやすくなるのも特徴的です。
一方、弁体の振れ幅分を確保する必要があるので、面間はどうしても大きくなってしまいます。
面間が大きくなると、その分本体も大きくなるので頑丈にもなりますが、重量も大きくなってしまいます。
3.主な使用例
上水道・下水道、河川水、重油・軽油配管、ボイラー周り等の設備に使用されることが多いです。
なのでメイン流体は水、油、蒸気などです。
特に流量が確保しやすい、圧力損失が少ない点から、一般的にポンプの吐き出し側に設置されることが多いです。
上の写真は下水道用施設ですが、ポンプに対して仕切弁と上下セットで設置されることも多いです。
この場合、上の写真の仕切弁は手動タイプですが、電動タイプとなることも多いです。
→前の仕切弁の記事でも紹介している通り、仕切弁も逆止弁同様に「流量が確保しやすい」「バルブの開度と流量が比例する」特徴がありますね。
4.まとめ
今回は、【スイング逆止弁】について解説しました。
最後に今回の内容についておさらいです。
①スイング逆止弁は水平の配管かもしくは垂直の配管の「下から上」に流れるように設置する必要がある
②「自力式」のバルブの為、設置状況や流体に影響を受けることになるので注意が必要
③口径に対して流量が確保しやすい
④バルブの開度と流量が比例する(圧力損失が少ない)(キャビテーションが発生しにくい)
⑤逆止弁の中では面間が大きくなる
以上が今回のまとめとなります。
最後に、再三ですが、逆止弁は「自力式」です。
なので使用する側も、乱流の起こらない流れが安定する所での設置や流れやすくする様に圧力の確保なども検討する必要があります。それら使用者側へも条件が突きつけられるという点からは、最も難しいバルブなのかなと個人的には思います。
参照:昭和バルブ製作所HP
その分、バルブ自体として最もオプションが豊富なのは、このスイング逆止弁です。
例えば「カウンターウエイト」をつけるとか、「ダッシュポット」をつけるとか、「バイパス弁」をつけるとか。
他にも知る限り多数のオプションがあるのは事実です。
それは、「自力式」で動くため、あらゆる場合に備えてオプションを用意されているからです。
必要に応じたオプションも合わせて選定していきましょう。
是非、今回の記事が【スイング逆止弁】について知りたい方の参考になればと思います。
その他にもバルブの種類に関して記事にしています。
よければそちらも参考にしてみてください。
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