【基本】バルブの種類を学ぶ。小さいから持ち上げるんです!【リフト逆止弁編】

「バルブ」と言っても色々な種類があって用途も様々・・・
「どんな種類があるのか知りたい」
「それぞれの特徴を知りたい」
このような疑問にお答えします。

 

こんにちは。近江クリエイトです。

僕はこれまで10年間で100現場以上を経験してきました。
そんな僕が実務で使えるバルブの知識を分かりやすく紹介します。

逆止弁と言っても形は様々・・・(種類の中では一番多い?)

今回はその中で【リフト逆止弁】について解説します。

目次

  1. リフト逆止弁とは?
  2. リフト逆止弁の長所と短所
  3. 主な使用例
  4. まとめ

 

1.リフト逆止弁とは?

まずリフト逆止弁とは、流体に押し上げられて弁体が開き、流れが止まると弁体が落ちて閉まるという構造です。
ポイントとしては、作動の起点となるヒンジピンがありません。

 

バーベルも持ち上げることを「リフト」と言いますよね。
流体が弁体を持ち上げる・・・考え方は同じです。

このリフト逆止弁も、前回解説したスイング逆止弁と同じく、
ハンドルなどの操作機を有さない「自力式」のバルブです。

 

2.リフト逆止弁の長所と短所

では簡単にこのバルブの主な長所・短所をまとめてみました。

◆長所
・非常にコンパクト(小口径向き)
・ヒンジピンがないので、摺動部の摩耗の影響がない。

 

◆短所
・逆止弁の中では流れにくい構造(圧力損失が大きい)
・水平の配管かつふたを上に向けた状態で配管しないと作動不良が起こる。

 

前回のスイング逆止弁と比べると、面間等も小さくコンパクトに設置が可能です。
しかも、ヒンジピンがないので、繰り返し開閉による摺動部の摩耗の影響がないのが利点です。

一方で、構造は玉形弁と同じS字形となるので、流れにくい構造となります。
しかも、さっきのヒンジピンという作動の起点もない為、弁体が「上がる、下がる」でしか作動を行いませんが、それが水平配管かつふたを上に向けた状態でしか配管できないことに繋がっています。

リフト逆止弁はコンパクトさを生かして、製作されている口径もおおよそ「15~50A」です。
そして、使われる先もおおよそ高温に高圧になることから、材質もFCD(ダクタイル鋳鉄)や鍛造で作られることが多いです。
さらにさらに、蒸気系が多いので接続もネジ込みタイプやソケットウェルド(SW)が多くなっています。

 

3.主な使用例

スイング逆止弁と同様に水、油、蒸気などに使用可能です。
中でもごみ焼却施設や発電所関係の蒸気ラインでよく使用されています。

20Kクラス以下のフランジ、ネジ込み接続の場合はダクタイル鋳鉄【FCD】の物が、より高温、高圧の場合や溶接(SW)を要したりする配管などでは、鍛鋼【SFVC2A】が使用されることが多いです。

【ワンポイントプラス】
耐圧力と温度には関係性があります⇒「圧力-温度レーティング」。高温になるほど耐圧力は低くなり、低温になるほど耐圧力は高くなります。蒸気ラインの選定においては、必須項目です。
JISによる圧力-温度レーティング(参考)

 

4.まとめ

今回は、【リフト逆止弁】について解説しました。

最後に今回の内容についておさらいです。

①リフト逆止弁は、面間等も小さくコンパクトに設置が可能

ヒンジピンがないので、摺動部の摩耗の影響がない

③逆止弁の中では流れにくい構造(圧力損失が大きい)

④水平の配管かつふたを上に向けた状態で配管しないと作動不良が起こる。

以上が今回のまとめとなります。

 

実は、「リフト型」は口径15~50A程が多い・・・
というより全体を通しても、小さな逆止弁は、ほとんどこの「リフト型」となります。

なぜなら他の型の逆止弁は、構造上、小さいサイズを製作するのが難しいからです。
リフト型は「上がる、下がる」という構造だからこそ、小さなサイズでも製作が可能なんです。

ただし、リフト型は簡単に作れるというものではなく、もちろん小さいが故に製作に緻密さが求められます。
しかもその中で、このリフト型の使用先は「危険流体」が多い様に感じます。

だからこそ個人的には、安全性のある、しっかりとした性能を持った物を使うべきだと思います。

 

是非、今回の記事が【リフト逆止弁】について知りたい方の参考になればと思います。

 

その他にも材質に関して記事にしています。
よければそちらも参考にしてみてください。

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