【基本】バルブの材料を学ぶ。一番ポピュラーな材質。それがネズミ鋳鉄【FC】。

こんにちは。近江クリエイト代表のエイトです。

 

バルブの材質も種類が様々・・・

「どんな種類があるのか知りたい」
「それぞれの特徴を知りたい」

このような疑問にお答えします。

 

今回は一番ポピュラーなネズミ鋳鉄【FC】について解説します。

この記事を見れば、ネズミ鋳鉄【FC】の基本的な性質が分かります。
バルブ材料としてのFCのことを知りたいと思った方は、是非参考にしてみてください。

目次

  1. FCの基本特性
  2. FC製バルブの主な用途
  3. 使用時には防錆処理が必要!
  4. まとめ

 

1.FCの基本特性

ネズミ鋳鉄(以下FC)はバルブ材料において古くから多く使用される材質です。
JIS規格としてFC200、FC250が使用されています。

よく比較されるASTM材としてはA126が該当します。

ちなみにこの200や250といった値は、材料を引張った際の最大強度を示しています。
FC200の場合は200N/mm2、FC250の場合は250N/mm2といった意味です。

 

では、ここからはバルブ材料のFCとして特性を紹介します。

①強度

バルブ材料の中では、最も弱いと言っても過言ではありません。

②耐温度

最低温度は0℃、最高温度は250℃まで。

バルブとしては、-10℃~120℃の静流水※、飽和蒸気 0.7MPa(170℃)が使用制限内になる。

※マイナス温度でも流れていれば、凍結しない為、使用可能となる。→FCは凍結すると割れるリスクがある。

③価格

鉄鋼の中では一番安価

④加工のしやすさ

とても加工しやすい(製造費用も安くなる)。

⑤耐食性

低い。防錆処理が必要。

 

以上をまとめると、強度や耐温度、耐食性には優れませんが、安価であるのと加工のしやすさから、非常に多く使用される材料なんです。

2.FC製バルブの主な用途

水、飽和蒸気、空気、ガスなどに適性を持っています。

中でも一番多く使用されるのが水流体の場合です。

例えば下水処理場やポンプ場など下水施設においては、非常に多く使用されています。
但し、下水施設も腐食性の強い流体となるので専用塗装が施されています。

他にもプラント配管や井戸設備、ポンプ用、農水など、「水」に関する用途が多いのが特徴です。

 

【ワンポイントプラス】
蒸気関係は高温になりやすいことからFCDや鋳鍛鋼が使われることが多いです。
また空気やガスについては、FCD、FCMB、ステンレスのボール弁が使用されることが多い様です。

 

3.使用時には防錆処理が必要!

FCの製品は耐食性が低い為、用途に合わせて防錆処理をしなければなりません。

ここではその処理方法について紹介します。

①塗装

最も基本的な防錆処理としては、塗装があります。
その種類は様々でエポキシ系やポリウレタン系などがあります。

またその塗料ごとに耐熱性や耐薬品性など特性があるので、使用する環境や条件に合わせて塗装することが必要です。

②粉体塗装

粉体塗装とは、パウダー状の塗料を直接バルブに吹き付け、コーティングすることを言います。

普通の塗装と違って塗膜が厚くなる為、耐久性や防錆能力が高くなります。

その分、普通の塗装よりは費用が掛かりやすくなります。

ちなみに水道用バルブには、この粉体塗装をされることが多いです。

③ナイロンライニング(コーティング)

ナイロンライニングは、金属部をナイロンで厚く覆う処理のことを言います。
耐食性、耐海水性、耐薬品性 に非常に優れており、広範囲の流体に使用することが可能となります。

粉体塗装と非常に似ていますが、その違いは施工方法と使用する塗料材です(粉体塗装は吹き付ける、ナイロンは浸漬する)。
バルブとしては、ほとんどがナイロンライニングを使用します。

④ゴムライニング

ゴムライニングは、ゴムと金属を加硫接着もしくは焼き付けした製品や、加工方法のことを言います。

耐食性、耐海水性、耐摩耗性などに非常に優れています。

ナイロンライニングと同様に、耐海水性に優れていることから、
特に発電所の冷却水配管やプラント配管などの海水に対して使用されることが多いです。

 

FCそのままでは耐食性に劣るのですが、このような処理を行うことであらゆる流体に対応が可能となります。
特に海水に対しては、ステンレスでは材質自体が高いという場合に、FC+コーティングをする比較的安価且つ海水にも強いということになることもありますのでおススメします。

4.まとめ

今回はネズミ鋳鉄【FC】について解説してきました。

以上のことをまとめると、
安価であるのと加工のしやすさから非常に多く使用されている材質です。

逆に強度、耐温度、耐食性には劣る一面もあります。

特に耐食性に劣ることから、防錆処理をしないといけません。
今回、バルブに関しての処理方法については4つ紹介しました。

 

あくまで危険性のない「水」流体を中心に「数を多く使用するのでコストを抑えたい」という時には最適な材質かと思います。

以上がバルブ材料の【FC】について基本特性となりますので、是非覚えておいてください。

 

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