【基本】バルブの材料を学ぶ。つまり鍛鋼【SFVC2A】は、SCPH2の小さい版です。。

バルブの材質も種類が様々・・・
「どんな種類があるのか知りたい」
「それぞれの特徴を知りたい」
このような疑問にお答えします。

 

こんにちは。近江クリエイトです。

僕はこれまで10年間で100現場以上を経験してきました。
そんな僕が実務で使えるバルブの知識を分かりやすく紹介します。

今回は小さくても強度は強い鍛鋼【SFVC2A】について解説します。

この記事を見れば、鍛鋼【SFVC2A】の基本的な性質が分かります。
バルブ材料としてのSFVC2Aのことを知りたいと思った方は、是非参考にしてみてください。

目次

  1. SFVC2Aの基本特性
  2. SCPH2との違いは?
  3. 【SFVC2A】製バルブの主な用途
  4. まとめ

 

1.SFVC2Aの基本特性

鍛鋼(以下SFVC2A)は高温、高圧用のバルブ材料として多く使用される材質です。

JIS規格としてはSFVC2Aがよく使用されていますが、同じくらいにASTM材としてA105も使用されています。どちらもバルブで使用する材質としては同じ物と考えてください。

材料を引張った際の最大強度は、490N/mm2です。

 

では、ここからはバルブ材料のSFVC2Aとして特性を紹介します。

①強度

非常に強い。

②耐温度

最低温度は-10℃、最高温度は425℃まで。

SCPH2の最高温度は538℃と規格されていますが、450℃くらいから高温になると黒鉛化※して本体の割れに繋がっていくので、バルブの性能を維持できるのは425℃が上限となります。
※この現象については、こちらの記事で詳しく解説されています。

③価格

そこまで高価ではない(FCDよりは高い、SCPH2よりは少し安い)。

④加工のしやすさ

とても加工しにくい(非常に堅い)。

⑤耐食性

低い。防錆処理が必要。

 

以上をまとめると、SCPH2と同様に強度耐温度に非常に優れている為、高温・高圧用の材料と言えます。その割に価格もそこまで高くありません。一方で、非常に堅い為、加工はしにくく、生産性には少し劣ります。また耐食性には欠けるので防錆処理が必要となります。

 

2.SCPH2との違いは?

強度と耐温度に優れているという点では、【SCPH2】と非常に似ています。
ではこの2つの違いは何でしょうか?

それはSCPH2は「鋳造」SFVC2Aは「鍛造」の違いです。

鋳造とは、「金属を高温で溶かして目的の形に成型する方法」です。
そして鍛造とは、「金属を金型で叩いて成型する方法」です。
よくテレビで赤く熱せられた金属を叩いて刀を作ったりするシーンもありますが、あれも「鍛造」ですね。

金属を叩くことによって内部組織の隙間をつぶし、結晶を整えることで強度が高まります。

【ワンポイントプラス】
SFVC2Aは炭素鋼の鍛造品ですが、ステンレス鋼の鍛造品もある。
→SUS F304(A182 F304)

 

では、その鋳造と鍛造で作られたSCPH2とSFVC2Aですが、
その違いを以下にまとめてみました。

ちなみにSCPH2についてまとめた記事はこちらをご覧ください。
【基本】バルブの材料を学ぶ。高温、高圧の二刀流!!鋳鋼【SCPH2】

①口径

SCPH2・・・50A以上がメイン
SFVC2A・・・50A以下がメイン

製造的にも、鋳造は小さいサイズより大きいサイズに適しているのに対し、鍛造は大きいサイズより小さいサイズに適しています。

【ワンポイントプラス】
どちらにもある50Aについて
価格メリットがあるのは、コンパクトな分SFVC2Aが安価。操作性やメンテナンス性は本体が大きい分SCPH2が上。

 

②巣の問題

SCPH2・・・発生する
SFVC2A・・・発生しない

鋳造で製作するSCPH2には「巣」の発生が起こりえます。しかし、鍛造品は叩いて製作する為、「巣」の発生はありません。

 

以上がSCPH2との違いとなります。

製造方法が違うので「巣」に関する違いがありますが、それ以外は適用しているバルブのレーティングや使用条件はほとんど同じです。
その中で大きく違う所は「口径」です。

要するにバルブとしてはSCPH2の「小さい版(小口径に対応)」ということになります。

3.SFVC2A製バルブの主な用途

石油プラントや火力発電所等で使用されるケースが多いです。
中でも高温・高圧や可燃性に対して使用される為、非常に「安全性」が問われるケースが多いのも特徴です。

その為、SFVC2A(A105)を使ったバルブにはJISはじめAPI、JPI、ANSI(ASME)等規格も多く、厳しく管理をされています。

また他には、ごみ焼却施設でも使用されています。焼却炉から発生する排気ガスの熱を利用して蒸気を作られたりする為、高温、高圧に適しているSFVC2Aのバルブが使用されるということです。

【ワンポイントプラス】
高温・高圧の使用に対し、耐摩耗性、耐食性、耐焼付性を上げる為、シートにステライト盛金などのハードフェーシングをするのが一般的です。

 

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4.まとめ

今回は鍛鋼【SFVC2A】について解説してきました。
最後に今回の内容についておさらいです。

SCPH2と同様に高温・高圧に適した材質

SCPH2との大きな違いは「口径」
・SCPH2・・・50A以上がメイン
・SFVC2A・・・50A以下がメイン

耐食性には劣るので防錆処理が必要

以上がバルブ材料の【SFVC2A】について基本特性となりますので、是非覚えておいてください。

 

その他にもバルブの材質に関して記事にしています。
よければそちらも参考にしてみてください。

☟バルブの材質に関する記事

 

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