【基本】バルブの材料を学ぶ。意外と難問・・・青銅と黄銅の違いは??

バルブの材質も種類が様々・・・
「どんな種類があるのか知りたい」
「それぞれの特徴を知りたい」
このような疑問にお答えします。

 

こんにちは。近江クリエイトです。

僕はこれまで10年間で100現場以上を経験してきました。
そんな僕が実務で使えるバルブの知識を分かりやすく紹介します。

今回は黄銅について青銅と比較しながら解説します。

この記事を見れば、黄銅の基本的な性質が分かります。
バルブ材料としての黄銅のことを知りたいと思った方は、是非参考にしてみてください。

目次

  1. 黄銅の基本特性
  2. 青銅との違いは?
  3. 【黄銅】バルブの主な用途
  4. まとめ

 

1.黄銅の基本特性

黄銅はバルブにおいてバルブ本体のみならず、ブッシュやスリーブ等の部品にも広く使用される材質です。
JIS規格として鋳造であればCAC302、鍛造であればC3604・C3771が使用されています。

【ワンポイントプラス】
よく「真鍮」とも呼ばれます。また海外の表記では「Brass」と記載されています。意味は同じですので一緒に覚えておきましょう。

 

では、ここからはバルブ材料の黄銅として特性を紹介します。

①強度

引張強度195N/mm2以上。

②耐温度

最低温度は-268℃、最高温度は200℃まで。

バルブとしては、-29℃~120℃の静流水、飽和蒸気 0.88MPa(179℃)が使用制限内になる。

③価格

安価。

④加工のしやすさ

加工しやすい(製造費用も安くなる)。

⑤耐食性

次の腐食性の懸念がある。

(1)応力腐食割れ
次の3つの要因がある場合に、応力がかかった個所が腐食割れを起こすことがある。
a.残留応力が残っている
b.アンモニアやアミン等が存在している
c.水分や酸素がある状態

 

(2)脱亜鉛腐食
PH値の低下、温度が高い、塩化物イオンの濃度などに影響をし腐食する現象。これは、黄銅が「銅と亜鉛」の合金の為、発生する。
短期間の使用でも発生することがあるので要注意。

 

以上をまとめると、加工しやすく安価な材質なんです。

その反面、耐食性には(1)応力腐食割れと(2)脱亜鉛腐食という大きな懸念があります。

2.青銅との違いは?

どちらも銅合金です。
但し、黄銅は「銅+亜鉛」、青銅は「銅+錫」で出来ています。
例えば身近な物で言うと5円玉は黄銅、10円玉は青銅から作られています。

では、黄銅と青銅の違いを以下にまとめてみましたので確認していきましょう。

ちなみに青銅【CAC406】についてまとめた記事はこちらをご覧ください。
【基本】バルブの材料を学ぶ。めちゃくちゃバルブに使う!!そして多様な特性!青銅【CAC406】

①価格

青銅・・・高い
黄銅・・・安い

 

同じ大きさ、同じ重さの物で比較すると約半分の価格になります。

②耐食性

青銅・・・かなり高い
黄銅・・・高い方ではあるが、応力腐食割れと脱亜鉛腐食を起こす場合がある。

 

青銅は、応力腐食割れと脱亜鉛腐食を起こしません。
その点では、青銅の方が耐食性が高いと言えるでしょう。

 

以上が黄銅と青銅の大きな違いとなります。

要するに価格メリットは黄銅の方がある。その一方で耐食性については、青銅の方が高いということになります。その他の特性は、黄銅と青銅で大きな違いはありません。

3.【黄銅】バルブの主な用途

黄銅も青銅と同じようにバルブ本体のみならず用途は多岐に渡ります。

バルブ本体として

給水用はじめ「水」に関する使用が最も多いです。
例えば、住宅用配管周りやポンプ用などで使用されています。

バルブの部品として

バルブ本体だけでなく「バルブの部品」としても幅広く使用されています。

例えば、このような部品です。

①スリーブ・・・ハンドルやギアの動力をステムの回転に伝達する部品。

②ブッシュ(軸受け)・・・ステムの回転からバルブ本体を守る部品。

③バルブのステム・・・バルブの弁体を上下させたり回転させたりする作動の軸。

特に①②は耐摩耗性が必要になってくるので黄銅の中でも強度の強い「高力黄銅」が使われることもあります。

また③は鍛造材料のC3771が使用されることが多いです。

いずれにしても流体と接触する所でなければ、耐食性に問題はありません。寧ろ青銅より安価となる為、バルブの部品としては非常に多く使用されています。

 

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配管資材におけるバルブは、種類やメーカーも多く、その中から選定するのはかなりの知識と判断力を要します。またお客様の「このような物がほしい」といったご希望を叶えるためには、バルブの知識だけに限らず、現場の経験値や現場の知識が不可欠です。

そこで株式会社近江クリエイトは、様々なバルブ技術者様のネットワークの構築や100以上の現場に赴き「実際に見て考えること」に注力してきました。これら培った豊富な知識と現場経験を元に、仕様・状況に合わせた最適なバルブを提案、選定致します。

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4.まとめ

今回は【黄銅】について解説してきました。

最後に今回の内容についておさらいです。

青銅とほとんど同じ特性を持ちながら、非常に安価であることからバルブ本体としてだけではなく、バルブの部品としても非常に多く使用されている

応力腐食割れ脱亜鉛腐食を起こす可能性がある

以上となります。

青銅よりは安価ですが、ベースの銅はあらゆる分野で使用される為、その分鉄に比べると高価でもあります。特に銅は、値動きが激しい材料なので、急な高騰もあります。
その動向は、LME(ロンドン金属取引所)のホームページでも確認できるので参考にしてみてください。

 

最後に個人的な意見ですが、バルブ本体としては【青銅】の方を使用することをおススメします。
理由は、高価とはなりますが、銅のバルブを使用するのに「耐食性」の不安があるのはマイナスだと考えるからです。
例えば、安価であることを優先し黄銅のバルブを使用したとしても、脱亜鉛腐食が起こり取り換えることになったとしたら、取り換えの手間や追加の材料費が発生してしまいます。
「安全性」や「労力」を考えると【青銅】の方がメリットがあるのではないかと思います。

以上がバルブ材料の【黄銅】について基本特性となりますので、是非覚えておいてください。

 

その他にもバルブの材質に関して記事にしています。
よければそちらも参考にしてみてください。

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