【基本】バルブの材料を学ぶ。ダクタイル鋳鉄【FCD】!FCの上位版?違いは?

バルブの材質も種類が様々・・・
「どんな種類があるのか知りたい」
「それぞれの特徴を知りたい」
このような疑問にお答えします。

 

こんにちは。近江クリエイトです。

僕はこれまで10年間で100現場以上を経験してきました。
そんな僕が実務で使えるバルブの知識を分かりやすく紹介します。

今回はFCの上位版??ダクタイル鋳鉄【FCD】について解説します。

この記事を見れば、ダクタイル鋳鉄【FCD】の基本的な性質が分かります。
バルブ材料としてのFCDのことを知りたいと思った方は、是非参考にしてみてください。

目次

  1. FCDの基本特性
  2. FCとの違いは?
  3. FCD製バルブの主な用途
  4. 使用時には防錆処理が必要!
  5. まとめ

 

1.FCDの基本特性

ダクタイル鋳鉄(以下FCD)はバルブ材料においてFC同様に多く使用される材質です。
特にJIS規格としてFCD400、FC450が使用されています。

【ワンポイントプラス】
同じダクタイル鋳鉄の中にFCD-Sというのもよく使われますが、FCD400、450との違いは化学成分や機械的性質が少し違う程度なので、バルブ材質としては同じダクタイルと捉えてもらって構いません。

 

よく比較されるASTM材としてはA395、536が該当します。

ちなみにこの400や450といった値は、材料を引張った際の最大強度を示しています。
FCD400の場合は400N/mm2、FC450の場合は450N/mm2といった意味です。

 

では、ここからはバルブ材料のFCDとして特性を紹介します。

①強度

金属材料の中で強い

②耐温度

最低温度は0℃(FCD-Sは-10℃)、最高温度は350℃まで。

バルブとしては、-10℃~300℃以下が使用制限内になる。

③価格

鉄鋼の中では比較的安価

④加工のしやすさ

加工しやすい(製造費用も安くなる)。

⑤耐食性

低い。防錆処理が必要。

 

耐食性には優れませんが、強度、耐温度に優れている且つ安価であるのと加工のしやすさから非常に優秀な材料と言えます。

 

2.FCとの違いは?

FCDは「球状黒鉛鋳鉄」としてJIS規格で規定されているので基本的にはFCと同じ「鋳鉄」です。

ちなみにFCについてまとめた記事はこちらをご覧ください。
【基本】バルブの材料を学ぶ。最も多く使われている。それがネズミ鋳鉄【FC】。

しかし、FCとFCDは化学成分も違う為、材質としてはっきりとした「差」があります。
それを以下にまとめてみました。

①強度

FC・・・弱い
FCD・・・強い

 

FCはFC200やFC250となるのに対し、FCDはFCD400やFCD450となることから機械的性質的にもFCDの方が強いと言えます。
そして、その強度は衝撃に対してや凍結に対しても優位性を発揮することとなります。

 

【ワンポイントプラス】
バルブ本体の規格やフランジ規格もFCの方が肉厚が大きく設定されています。その一面からもFCDの方が強度が高いと言えるでしょう。

 

②耐温度

FC・・・低い
FCD・・・高い

 

FCは最高温度250℃までとなるのに対し、FCDは350℃となることから耐温度もFCDの方が高いと言えます。
その為、FCは飽和蒸気での使用しかできませんが、FCDは過熱蒸気に対しても使用が可能となります。

ちなみに「飽和蒸気」と「過熱蒸気」については蒸気用機器メーカーのTLVが詳しく解説していますのでそちらを参照ください。

 

以上がFCとの大きな違いとなります。

要するにFCより使用できる範囲が広いということです。FCの上位版ということですね。

 

3.FCD製バルブの主な用途

耐温度性に優れることから蒸気用のバルブとして使用されるケースが多いです。

例えば、ごみ焼却施設の蒸気配管用や発電所の蒸気タービン用として使用されたりしています。

バルブとしては、圧力1MPa以下で300℃以下の蒸気であれば、FCDは使用が可能なので安価な材質としては、魅力的でもあります。

他にも強度があることから水道用のバルブとしても多く使用されています。

生活を支える配管なので強固にしているということなのだと思います。

 

4.使用時には防錆処理が必要!

FCDの製品は耐食性が低い為、用途に合わせて防錆処理をしなければなりません。

ここではその処理方法について紹介します。

①塗装

最もポピュラーな防錆処理としては、塗装があります。
その種類は様々でエポキシ系やポリウレタン系などがあります。

またその塗料ごとに耐熱性や耐薬品性など特性があるので、使用する環境や条件に合わせて塗装することが必要です。

②粉体塗装

粉体塗装とは、パウダー状の塗料を直接バルブに吹き付け、コーティングすることを言います。

普通の塗装と違って塗膜が厚くなる為、耐久性や防錆能力が高くなります。

その分、普通の塗装よりは費用が掛かりやすくなります。

ちなみに水道用バルブには、この粉体塗装をされることが多いです。

③ナイロンライニング(コーティング)

ナイロンライニングは、金属部をナイロンで厚く覆う処理のことを言います。
耐食性、耐海水性、耐薬品性 に非常に優れており、広範囲の流体に使用することが可能となります。

粉体塗装と非常に似ています。その違いは施工方法と使用する塗料材です。
バルブとしては、ほとんどがナイロンライニングを使用します。

 

FCDそのままでは耐食性に劣るのですが、このような処理を行うことであらゆる流体に対応が可能となります。
特に海水に対しては、ステンレスでは材質自体が高いという場合に、FCD+コーティングをする比較的安価になるということもあります。

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4.まとめ

今回はダクタイル鋳鉄【FCD】について解説してきました。

最後に今回の内容についておさらいです。

FCより強度、耐温度に優れる上位版的材質

FC同様に安であるのと加工のしやすさもある

③基本的に防錆処理が必要

以上がバルブ材料の【FCD】について基本特性となりますので、是非覚えておいてください。

 

その他にもバルブの材質に関して記事にしています。
よければそちらも参考にしてみてください。

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